2020.12.29 太陽光発電協会太陽光発電シンポジウム Web開催
太陽光発電協会(東京都港区)はこのほど、「太陽光発電シンポジウム」を2日間にわたりWeb上で開催した。テーマは「『再エネ型経済社会』の創造・コロナ禍を乗り越えて~ユーザーと考える太陽光発電の普及へ~」。
太陽光発電が広く社会に広がりつつあることを踏まえ、供給サイドだけでなく、太陽光パネルを活用する需要サイドからも多くの参加があり、再生可能エネルギーや太陽光発電の今後の在り方などについて報告、議論した。今回で37回目。
20年度は、太陽光発電が急速に普及した再エネ固定価格買い取り制度(FIT)の抜本的な見直しが決定されるなど、節目の年となった。21年度には、今後のエネルギー政策の指針となる第6次エネルギー基本計画の見直しも控える。
シンポジウム初日、資源エネルギー庁の茂木正 省エネルギー・新エネルギー部長が基調講演を行った。菅義偉首相が所信表明演説の中で「50年にカーボンニュートラルの実現」を掲げたことなどに言及。「再エネを最大限導入することも宣言いただいた。成長戦略そのものだと位置付けている」と話した。
FITに変わる制度として、22年度の導入に向けて詳細な制度設計が進む市場連動のFIPについても解説。「国民への賦課金を抑えながら再エネを着実に広げていくことを意識しなければならない。経済社会に再エネをしっかり根付かせていく仕組みづくりが必要だ」と説明した。
さらに、東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授が講演し、米国の巨大IT企業が自社だけでなくサプライチェーンの動きにも注目していることを紹介した。
マイクロソフトは自社の地球温暖化ガスの排出量を30年度までにマイナスにすることを掲げている。加えて、サプライチェーンにも取り組みを促し、マイクロソフトの取引先の排出量を30年までに半分以下にするよう進めていくという。
さらに、アップルは15年から自社が使用する電気を再エネ100%にしたほか、自社製品を製造する生産ラインでも再エネ100%にするようサプライヤに働きかけているという。
こうした世界的な動向を受けて、高村教授は「日本では、再エネを調達できないことで事業機会を失うビジネスリスクが、米国に次いで大きくなる見通しだ」と述べた。
着実にコスト削減も
2日目には太陽光発電を熱心に活用する需要サイドから多くの報告があった。
スーパーなどを展開するバローグループ(岐阜県多治見市)は17年から太陽光パネルを店舗の屋根などへ設置し、3年間で計15MWに急拡大させた。
パネル討議に参加した同グループの番直人氏は、太陽光の導入について「調べれば調べるほど、電力コストの削減が図れることが分かった。土地整備が必要な野立てではなく、屋根への導入であれば、金具固定など比較的簡単に取り付けることができる。環境面に配慮でき、コスト削減もできている」と語った。