2020.12.30 FUJI、宅配ロッカーシステムなど新事業が順調介護者用移乗サポートロボット受注増

受注が伸びている移乗サポートロボット

須原 社長須原 社長

 FUJIは、介護施設において高齢者・障がい者の移乗を支援する移乗サポートロボット「Hug T1-02」の受注が、コロナ禍で伸びている。同ロボットは超高齢社会における介護負担の増加や、介護従事者の不足が深刻化している中で、16年4月に製品化し、その後、新機種を発売するなど事業を拡充している。

 須原信介社長は「移乗サポートロボットは1年半ほど前から急速に受注が増加し、現在は月産50台以上、100台という月もある。もともとは介護従事者の作業を軽減する目的で製品化したが、最近はコロナ禍で人と人の接触を避ける目的での引き合いも増えている。導入時に公的な各種補助金も受けられることから、需要が伸びている」と話す。

 在宅介護向けHug L1-01と、介護施設向けHug T1-02をそろえる。

 Hug T1-02は、人が立ち上がるときの軌跡を表現、残った脚力を最大限に活用するよう動作。スリングシートが不要ですぐに使用でき、誰でも簡単に操作できる。

 安定した姿勢を保持でき、幅広い体格の人にも対応する。抱え上げ動作をロボットがサポートし、介護者の負担を軽減する。

 今まで2人介助で行っていた移乗・トイレ介助が、介護スタッフ一人ででき、業務の効率化につながる。

 各種補助金は介護ロボット導入支援事業、人材確保等支援助成金(旧職場定着支援助成金)、エイジフレンドリー補助金、障害福祉分野のロボット導入支援事業などがあり、既に多くの実績がある。

 同社は移乗サポートロボットのほかにも宅配ロッカーシステム、大気圧プラズマユニット、半導体後工程装置など新規分野の事業を拡大している。

 宅配ロッカーシステム「Quist(クイスト)」は、女性の労働スタイルが多様化し、ネットスーパーの利用者も増えている中で16年ごろから展開し、日本郵便の「はこぽす」サービスをはじめ納入実績を積み重ねてきた。現在、コロナ禍で非対面販売増加による需要や、またカインズが展開するホームセンターの店内にも設置されるなど設置台数が伸びている。

 大気圧プラズマユニット「Tough Plasma(タフプラズマ)」は、プラズマの持つ電気的に中性なラジカルの性質を利用して金属などの表面を改質することで接着性を高めるための製造装置。

 自動車の電子化が加速する中で、車体の軽量化・環境性などから樹脂材料の採用が増加傾向にあり、同装置のビジネスチャンスが広がっている。中国市場でも本格的な販売をスタートしている。

 半導体後工程事業は、子会社化した半導体製造装置メーカーのファスフォードテクノロジ(FFT)との協業により取り組んでいる。半導体後工程、電子部品実装工程の次世代技術開発や製品開発を進め、22年ごろには具体的な製品化を計画している。