2021.01.08 【製造技術総合特集】東京ウエルズ 外観検査装置の最新技術動向 電子部品の極微小化と高信頼性・高品質化と旺盛な需要増に対応
MMIH「TWA-1100」
20年は、15年から続く積極的な設備投資が一段落し、将来へ向けた投資計画をする年と思われたが、新型コロナウイルスの影響で上期は市場動向の変化が大きかった。4-6月の時点では悲観的な見通しだったが、半年ほど経過した10-11月ごろには、各工場の生産回復やコロナ禍で後押しされたモバイルPCや、タブレット端末などの需要増から、電子部品業界の見通し自体は明るくなりつつある。先行きがまだまだ不安定ではあるものの、スマートフォンの5G対応などの技術動向・需要拡大対応に向けての期待値は依然として高いままである。そのような中で、電子部品の微小化トレンドと高品質・高信頼化に伴う観点から、それらを保証するための検査ニーズはより顕著になってきている。
当社は電子部品向けのテーピング機、測定検査機、外観検査装置、電極塗布機を広く展開してきた。近年では部品の極微小化ニーズに応え、0201(ミリメートル)サイズ対応をコンデンサのみならず、抵抗、インダクタなどの品種への取り組みも拡大している。さらに、外観検査装置の拡充は約5年前から本格的に事業化をしており、車載用途に代表される高信頼性と高品質化の要求にも積極的に取り組む。
外観検査装置は電子部品用測定検査機で培った画像技術を駆使しコンデンサ、インダクタ、ダイオードなどの良否を判別する。高速化、微小部品、異形部品対応など進化を続けつつ、AI(人工知能)機能搭載機を開発し、19年から同機能搭載の6面外観検査装置TWA-4101を市場に投入している。
AIで検査アルゴリズム構成
判定閾値設定を簡素化
AI機能によって、検査内容がより人間の目での微妙な判断に近くなり、また検査アルゴリズムの複雑な構成や、熟練が必要な判定閾値の設定を一挙に簡素化する。電子部品の外観検査において、これまで良品である部品の不良品判定(オーバーキル)や、不良品の良品判定(アンダーキル)といった課題があったが、AI機能の搭載でこうした課題が一気に解決され、顧客からは高い評価を得ている。
AI機能搭載機の開発とともに、これまでの規格品に加えてスマホのバッテリコネクタなどの異形部品向けに開発したMMVH(Multi-Module Vision Handler)と名付けた新型外観検査装置、MMTH(Multi-Module Test Handler)と名付けた検査テーピング機を20年は拡販を開始している。市場で評価を受けて、21年はそれらの要望への対応を進展している。半導体市場および比較的大きなサイズの電子部品、異形電子部品用の検査装置としてラインアップをそろえることで、これらの販売をさらに強化したいと考える。
これらの装置は異形部品、中サイズ以上のデバイス、部品を対象とし、機械の各部のモジュール構成により、様々なサイズ、形状のワークに対して、柔軟な構成変更を可能にしている。ワーク供給部ではパーツフィーダ供給だけではなく、トレー供給、ウエハー供給にも柔軟に対応が可能になっている。工場のスマート化に対応するため、工場内のネットワークに接続可能なPCによるネットワーク対応仕様も可能になっている。
事業の基礎となる要素技術開発をさらに充実し、電子部品の非破壊検査などの新たな事業領域、商品領域にも取り組んでいる。
(筆者=東京ウエルズ)