2021.01.12 ソーラーシェアリング研究の共同研究講座ウエストHDが広島大大学院に開設
広島大学キャンパス内でソーラーシェアリングの研究が進む
太陽光発電設備の施工などを手がける「ウエストホールディングス(HD)」(広島市西区)は、広島大学との共同研究講座として、同大大学院統合生命科学研究科に「ソーラーシェアリング共同研究講座」を開設している。農地に設置した太陽光パネルの下で栽培した農作物の収量や品質の調査、比較などの研究を行う。同社のSDGs(持続可能な開発目標)を推進する活動の一環。
栽培農地に支柱を建てて上部に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングは、農地を有効活用して、SDGsにも貢献できる有力なスマート農業の一つの技術として期待されている。
共同研究講座では、広島県東広島市にある大学キャンパス内の試験農地に、遮光率0%、30%、50%の3種の太陽光パネルを設置。ナスや白菜、白ネギ、大麦などを栽培しながら、生育具合などを比べる研究を進め、ソーラーシェアリングに適した農作物を選定する。農業の高収益化にも寄与できる。
ウエストグループは19年6月、農林中央金庫(東京都千代田区)と、再生可能エネルギー発電を活用してJA組合員の所得を向上させることなどを目的とし、業務提携を締結。全国に約600あるJAと順次、提携を広げている。
広島県内では、JA広島中央(東広島市)と契約して組合員へソーラーシェアリングを推進。安芸高田市では、環境省の補助金を得て、大麦をソーラーシェアリングで育てながら、発電した電力を使ってビニールハウス内で水耕ネギを栽培している。水のポンプアップや水温調整などで電力を完全に自家消費させるモデルだという。
こうした取り組みに、広島大学との共同研究で得られる結果を役立て、地域での再エネ推進につなげていく方針だ。
グループではソーラーシェアリングの施工について、既に栃木県をはじめ全国で約130件の契約を結んでいるという。グループの担当者は「農家がソーラーシェアリングをやらない理由は、生育が悪くなったり収量が減ることへの不安があるためだ。実証実験を通して、農家の不安を取り除きながら、ソーラーシェアリングを普及させていきたい」と話す。