2021.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開東京応化工業

種市 社長

新規事業へチャレンジ 人材育成やデジタル化対応も

 東京応化工業は、20年度(12月期)は売上高・営業利益ともに過去最高を更新の見通し。テレワークの広がりや5G関連、巣ごもり需要増大などが業績を押し上げた。クラスター発生防止のため安全・衛生にも万全に取り組み、社内のオペレーションも順調だった。

 21年度の市場展望について種市順昭社長は、「WSTSの21年世界半導体市場予測は8.4%増。業界を見回しても、5G対応スマートフォンの増加や自動車の電動化など好材料が多く、期待できる。懸念は円高や原材料高。経費抑制にしっかり取り組む必要がある」と説明する。

 同社は20年に、30年に向けた長期ビジョン「TOK Vision 2030」を策定した。「電子材料を極めるのが長期ビジョンの根幹。加えて新規事業にも果敢にチャレンジしたい。それを実現するため、電子材料分野でしっかりとキャッシュを創出する。それにより、次世代向けの大型設備投資が可能になる」(種市社長)。

 人材育成やデジタル化対応も重視する。「当社では社員の平均年齢が上昇しているため、若手人材の育成が重要。グローバル人材の育成にも努める。デジタル化対応は、生産や開発などの各場面でチャレンジする」(種市社長)。

 設備投資関連では、相模事業所(神奈川県寒川町)のオープンイノベーション整備は21年3月にはほぼ完成し、5月頃から供用できる見通し。加えて電子材料の新規素材開発のため、既存建屋の空きスペースを活用し研究施設を充実させる。

 EUVやArF、KrFの生産設備増強や生産性向上も進める。フォトレジストは、データセンター向けフラッシュメモリーや5Gインフラ投資の拡大などにより今後も先端製品の需要増を見込む。

 新規事業展開は、多孔質フィルム材料やライフサイエンス分野のバイオチップ材料などに取り組み、「今後も新しい事業テーマの棚卸を進める」(種市社長)。

 20年1月には半導体の進化をマーケティングする新組織を立ち上げた。「長期ビジョンで掲げる『売上高2000億円』達成に向け、『電子材料+α』の事業創出につなげる」(種市社長)。