2021.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開大陽日酸
澤木事業部長(右)と千葉部長
半導体製造用ガスを安定供給へ
大陽日酸は、半導体製造工程などで不可欠な電子材料ガスを供給する大手メーカー。多様なニーズに対応した電子材料ガスを豊富にそろえ、国内4カ所の生産拠点体制で高品質な製品を安定供給している。
最先端顧客向けでは、R&D部門と連携し、新材料の開発・提案を継続的に進めている。
産業ガス事業本部の澤木実電子機材ガス事業部長と同営業部の千葉賢治部長は、電子材料ガス事業の動向について、「20年はコロナ禍でエレクトロニクス業界は全般的に稼働は低調だった。一方で顧客の二極化もあり、好調な顧客は20年の7月、8月頃からかなり生産が増加してきた。当社の受注も現在は前年同期を若干下回る位まで回復している」と説明する。
21年のエレクトロニクス関連のガス事業戦略では、「半導体業界では21年以降、3D NANDフラッシュの新工場での量産開始が予定されており、車載用半導体需要も復調が期待できる。米政府のファーウェイ規制に伴う半導体生産の後ズレ懸念など不透明要素もあるが、WSTS予測を考慮しても、21年の半導体産業は他産業と比べて高い成長が期待できる。我々の使命は半導体製造で使用されるガスの安定供給。最適な供給に向けて努力していく」(同)と話す。
21年の期待分野は、データセンター向けで需要増が期待されるフラッシュメモリーや、CMOSイメージセンサー、テレビ向け液晶など。
「最近は一工場で大量のガスを使用する工場も出てきている。需要に合わせた能力増強を図り、需要にしっかり応える」(同)と話す。
電子材料ガス事業では、生産子会社ジャパンファインプロダクツ(JFP)が国内4工場を展開。さらに、海外製品を輸入し、JFPの技術力を活用して品質確認を行いながら国内顧客の要求仕様に合わせたカスタマイズ供給にも力を入れている。「自社合成でガスを製造するメーカーとしてのポジションを強みに今後も展開する」(同)。
同社は各地域に営業担当者を配置し、顧客への的確なサポートを行う。
東南アジア向けを中心とした海外事業にも力を注ぎ、JFP製品の輸出に加え、18年から19年にかけて韓国と中国の新工場を立ち上げた。