2021.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開JFEケミカル

笹田 部長

5G、CASE向け新製品開発加速

 JFEケミカルは、電子材料向けを中心に①光学レンズ・フィルム②電子基板③半導体フォトレジスト④ポリイミドの主要4分野で精密化学品事業を積極展開。特に第5世代高速通信規格5G、CASE向けの新規製品開発を加速させている。

 精密化学品の基盤事業の光学レンズ・フィルム分野では、JFEスチール製鉄所副生品のコールタール中の希少成分を原料にインデン誘導体やフルオレン誘導体を製造し、光学樹脂原料として高い供給実績を持つ。

 スマートフォンのカメラの高性能化や車載へのニーズの高まりで需要が拡大しており、これに応じた生産体制を整備する。

 電子基板分野では、独自の合成・重合技術を生かしたフェノール誘導体、特殊フェノール樹脂を展開。高耐熱性と低誘電損失が必要な5G、EVなどの最先端のプリント基板やパワーデバイス向けに独自性の高いラインアップを拡充している。ベンゾオキサジン類は高ガラス転移点、高寸法安定性、低アウトガスなどの特徴により販売を拡大している。

 レジスト分野では、コールタール中の多環芳香族から製造されるアセナフチレンやフルオレン誘導体が採用されている。

 KrFやEUVなどの光源低波長化に対し、スチレン類縁体、芳香族ビニル化合物などを提案、高い評価を受けている。

 ポリイミド分野では、原料からワニスまで対応できる体制を強みに、特性の差別化を図り、電子基板や複写機ベルト、LIBセパレータ向けに展開。多様なニーズに対応した原料モノマーやポリイミドワニス「JIV-シリーズ」を提供しており、5G基板材料などに対し、自社開発原料の配合と重合技術で性能をカスタマイズした特殊ポリイミドワニスの商品化に取り組んでいる。

 新商品開発強化のため、19年に「事業化推進室」を新設。「ステージゲートなどの管理手法を強化し、研究開発品の早期商品化を推進する」(笹田克彦精密化学品部長・参与)。

 5G、CASEの広がりで多環芳香族化合物への注目が増しているため、MIを駆使して自社原料や合成技術などのシーズを生かした開発を加速する。さらに、サステナブルマテリアル化に向け、既存製品、新規開発品をCFRP用マトリックス樹脂などへ応用する検討を始めた。