2021.03.02 3Q太陽電池出荷、減少傾向続くテレワークなどで住宅用持ち直しの兆しか

全国各地で広がる太陽光発電設備だが、出荷量は前年割れが続く

 太陽光発電協会(東京都港区)は1日、太陽電池出荷統計の20年度第3四半期(20年10-12月)分の結果をまとめ、公表した。モジュールの総出荷量は1347MWで前年同期(19年10-12月)と比べて88%に減少。国の制度変更などにより、減少傾向が続いているが、一部で持ち直しの兆しともとれる結果も出ている。

 国内に拠点を置く34社に調査の協力を求めて、28社から回答を得た。
 モジュールの国内出荷量は1293MWにとどまり同88%。海外出荷も54MWで、同92%と、いずれも減少した。総出荷量のうち、日本企業分は605MWで同96%。外国企業は742MWで同比83%だった。

 モジュールの国内出荷量(1293MW)を用途別で分けると、「住宅用」が248MWで同102%と微増する結果だった。同協会は「コロナ禍によるテレワークなどの普及で、住宅への太陽光発電設置の関心が高まっている結果ではないか」と推測する。

 「住宅用」について、日本企業の出荷は177MWで同97%と微減している一方、外国企業が71MWで同120%と大幅増加を示していることから、外国企業が挽回し、押し上げていることが分かる。

 また、売電を主目的とした出力500kW以上の大規模装置の「発電事業用」は738MWで同90%。ただ、外国企業が465MWで同77%だったのに対して、日本企業が273MWで同124%と大幅に増加させた。

 発電事業用途について、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の認定受けて未稼働のままになっている案件を、国が問題視し、早く稼働を始めるよう求めていることなどが大きく影響しているとみられるが、日本企業が好調さを示したことは、「一過性の可能性が高いのではないか」(同協会)とする。

 一方、オフィスや工場、病院、公共施設などに設置する500kW未満の「一般事業用」は307MWで同77%の大幅減少。日本企業だけでみると104MWで同63%にまで落ち込んだ。外国企業は203MWで同86%だった。

 20年4月から始まった、低圧設備に対するFITの改正の影響を受けて、低調ぶりが続いているとみられる。

 同協会は「一般事業用途は当面、厳しさが続くだろう」とした上で、「ただ、長期的なトレンドをみれば、自家消費型の太陽光が最初に拡大するのは、スーパーや店舗などでの一般事業用途からであり、今後、伸びていく分野の一つになる」と指摘している。