2021.03.05 エレクトロニクス商社4-12月連結決算新型コロナ響き過半が減収

コロナ禍のビジネスチャンスを狙ってエレクトロニクス商社も出展した「オートモーティブワールド」展(1月、東京ビッグサイト)

 エレクトロニクス商社の21年3月期第3四半期(20年4-12月)連結決算は、コロナ感染拡大の影響から22社中16社が減収という厳しい結果になった。一方でテレワークなどビジネススタイルの変化に伴う通信関連の需要を取り込んだり、コロナ禍から回復した中国製造業の需要増などから増収増益を計上した商社もあった。市場環境の回復感から、一部の商社では通期連結業績予想を上方修正している。

増収増益の企業

 マクニカ・富士エレホールディングスは増収、大幅増益だった。中国をはじめとする車載市場の好転、テレワークなどビジネススタイルの変化に対する需要増、産業機器市場における設備需要の回復などから半導体、ネットワーク事業ともに増収。最終損益は感染対策のための在宅勤務やデジタル・セールス活動による販管費の抑制などもあり、前年同期比75.2%増と大幅増益を計上した。

 伯東は電子部品事業で、テレワークや巣ごもり消費の拡大によってPC・タブレット端末向けICやコネクタなど一般電子部品が伸長し、5G関連の光部品の販売が堅調だったほか、車載用途ICも需要の急回復と前年度第3四半期に取引を開始した新規商流などにより増収。特別利益として投資有価証券売却益2億4900万円を計上し増益となった。

 東京エレクトロンデバイスは、微増収ながら最終損益は前年同期比37.8%増と大きく伸びた。半導体および電子デバイス事業は産業機器向けの販売が順調で、車載向けの需要も回復。コンピュータシステム関連事業はコロナ禍でリモートワークの活用が進み、ストレージやセキュリティ製品の需要が増加した。

 イノテックは、メモリー向けテスターの需要回復や決済端末の販売が堅調で増収増益だった。グループのアイティアクセスはライセンス販売が伸長。三栄ハイテックスは国内主力顧客の需要回復や海外事業の好調さから増収となった。

減収ながら増益

 加賀電子は減収ながら最終利益は大幅増。グループの加賀FEIの大口取引先との販売代理店契約解消などで減収だったが、エクセル買収に伴う、負ののれん発生益(79億6300万円)を特別利益に計上したことなどで大幅増益だった。

 レスターホールディングは、デバイス事業が民生向け需要の低下や車載関連の生産調整などから減収となったが、最終損益は投資有価証券売却益の計上(特別利益)により増益。

 リョーサンは半導体事業の車載向けビジネスの落ち込みなどで減収だった。政策保有株式の売却益などで最終増益を確保した。

 サンワテクノスは、電機部門で産業機械業界向けや半導体関連業界向けのサーボモーター、ロボットなどの販売が伸びたものの減収だった。営業利益が改善したことから、最終損益は増益となった。

減収減益の企業

 丸文は、巣ごもり需要や在宅勤務の増加によってノートPCや通信機器、ゲーム機市場が好調に推移し、半導体や電子部品、関連製造装置の需要が高まり増収。利益面では、相対的に利益率の高い商品の売上げが低調だったことに加え、期中の円高進行で円ベースの売上総利益が押し下げられ、損失を計上した。

 菱電商事はエレクトロニクスにおいて自動車関連向けが回復傾向にあるものの、国内外の景気悪化の影響を受け減収減益。FAシステムは半導体製造装置関連向けが中国市場を中心に好転したが、自動車関連など製造業向けが低調だった。新規事業の大型植物工場は堅調に推移。

 立花エレテックは、主力のFAシステム事業が設備投資回復の弱さから前年同期比減収になるなど、新型コロナの影響を受けて減収減益だった。

 カナデンはFAシステムやインフラ事業など各事業分野が伸び悩んだほか、前年同期に旧本社社屋および土地の売却益を計上したことなどから減収減益となった。FAシステム事業は機械装置メーカー、自動車産業関連顧客などの設備投資抑制により駆動機器商品群が低迷した。

 たけびしは、産業機器システム分野では装置システムが5G関連で一部増加したものの、食品や液晶関連などで減少したほか、半導体・デバイス分野で家電向け液晶などのデバイスが減少し、減収減益だった。

 通期連結業績予想は加賀電子、伯東、リョーサンなどが従来の公表値を上方修正した。