荏原実業パワーと東京電力グループのエナジーゲートウェイは、荏原実業パワーが新たに販売する蓄電池「EJ1-HB蓄電システム」へ、エナジーゲートウェイが提供する「蓄電池AI最適制御システム」を国内で初めて搭載し、21年春から提供を開始する。

■荏原実業パワーが発売する新商品「EJ1-HB蓄電システム」について

　このシステムは、電力センサーが測定した家庭内の家電ごとの電力消費状況や太陽光発電の発電量情報、蓄電池の残量などを、荏原実業パワーが開発した通信ユニットを介して、エナジーゲートウェイが提供するクラウドプラットフォームにアップロードし、独自のアルゴリズムによって、家庭ごとの最適な充放電制御を可能にするものだ。各家電機器の「見える化」を可能にし、併せてAIによる使用状況の分析を行うことで快適な節電を可能とするなど、より効率的に太陽光発電の電気を家庭で活用できるようになる。また、通信ユニットにはHEMS（ホーム エネルギー マネジメント システム）ゲートウエイを内蔵しており、ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）の実現と家庭における電気代の削減に寄与する。

　今回の開発では、ECHONET Lite対応のゲートウエイの開発と、AIによる制御を実行するクラウドシステムの構築をエナ・ストーンが担当している。

　従来の蓄電池では、太陽光発電設備と蓄電池のそれぞれにパワーコンディショナが必要で、停電するとパワーコンディショナが止まってしまい、太陽光発電していても、家電機器に電力を供給できないといった課題があった。また、ネットワーク上で蓄電池を管理するためには、安定した信号が継続してつながることが重要だが、通信トラブルが発生した場合、解消までに時間を要していた。こうした課題に対し、今回開発した蓄電池はハイブリッド型（従来の2台のパワーコンディショナを1台にまとめた蓄電池）とすることで、停電時にも太陽光発電の電力を蓄電池に充電することを可能にしている。また、通信ユニットは、Wi-Fi、LTEおよび有線LANの通信に対応し、通信障害がほぼ発生することなく、安定した通信が可能な仕様としている。

　今後、荏原実業パワーとエナジーゲートウェイは、将来的なVPP（仮想発電所）関連市場での活用も視野に入れ、蓄電システムの普及拡大と脱炭素社会の実現の一端を担えるよう、温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品とサービスの提供を進めていく。