2021.03.29 【エコキュート特集】 時代に合わせて機能進化、IoT化で各種機器とも連携

菌の繁殖を抑制する「キラリユキープ」を搭載した「Pシリーズ」で清潔性を訴求していく菌の繁殖を抑制する「キラリユキープ」を搭載した「Pシリーズ」で清潔性を訴求していく

 新型コロナウイルスの影響や住宅着工件数の低迷などによって落ち込んでいたエコキュート市場が、昨年10月以降、復調してきている。エコキュートは太陽光発電との連携が進むなど、IoT化の進展により付加価値が高まっている。高効率給湯器としての存在感を一層高めている。

 11年3月に発生した東日本大震災を契機とした節電意識の高まりで、電気でお湯を沸かすエコキュートは、右肩上がりで成長してきたそれまでと打って変わり、市場が急速に停滞した。そうした状況が改善したのが16年度からで、それ以降は前年を上回る水準で出荷台数は伸びている。今年度も、上期は前年割れの月が続いたが、通期で見ると前年を上回りそうだ。

 政府がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)を推進してきたこともあり、高効率給湯器としてエコキュートに注目が集まるとともに、電気温水器からの買い替えも進んだ。

 同時に、太陽光発電の買い取り期間が終了する、いわゆる〝卒FIT〟世帯が19年11月から大量に発生し始めている。卒FIT後は自家消費する方が売電より経済的なメリットは高いが、発電した電力をためるために高額な蓄電池は導入しにくい。そこで昼間に発電した電力で沸き上げ、できるだけ自家消費する効率的な運用を行う―。そんな提案がエコキュートで進んだ。

 IoT技術を生かして、天気予報の情報を取得して太陽光発電との連携を図るなど、給湯器としてだけでなく、エコキュートは時代に合わせて進化。一方で省エネ性や快適性、清潔性も追求され、スマートフォンからの遠隔操作は各社が実装するようになっている。

 世界初のエコキュートをコロナが01年に発売してから20年以上がたつ。エコキュートからエコキュートへの買い替え需要も顕在化している。IoT化によって浴室暖房機など他機器との連携も進みつつあり、エコキュートは今後も給湯器の主力として、堅調な需要が期待できる。

三菱電機の主力製品 「Pシリーズ」で清潔性を訴求
深紫外線で菌の繁殖抑制

 三菱電機は、エコキュート「Pシリーズ」で清潔性を訴求していく。

 昨年8月に発売したPシリーズは、同社にとって2年ぶりにモデルチェンジした製品だ。風呂配管を通るお湯に深紫外線を照射することで菌の繁殖を抑制する「キラリユキープ」を搭載。貯湯タンクに真空断熱材などを採用して保温性を高め、省エネ性の向上にもつなげている。

 キラリユキープは、湯張り後にお湯を循環運転し、風呂配管をお湯が通る際に深紫外線LEDで菌の繁殖を抑制する機能。深紫外線は、水や空気を浄化する光源としてコロナ禍でも注目されている技術だ。

 排水溝には常に水分があり、菌が繁殖するとその分泌物(バイオフィルム)によって汚れ(ぬめり)が発生するが、キラリユキープでぬめりが発生しにくくなる。キラリユキープがある場合とない場合とではぬめり発生までの期間が2倍以上異なり、排水溝を掃除する頻度を低減できるという。お湯の臭いも抑制する。

 貯湯タンクには、真空断熱材とウレタンを採用した「サーモジャケットタンク」を採用し、断熱性を高めた。ウレタンを含む断熱材を分割方式にし、素材ごとの分別を簡単にしてリサイクルしやすい構造にしている。家庭用給湯機では業界初という。

 スマートフォンとの連携も強化。別売りの無線LANアダプタを設置することで、家電統合アプリ「MyMU(マイエムユー)」を介して、スマホからの湯張り操作などを可能にしているほか、対応する浴室暖房機を備えていれば、エコキュートと連携した操作も可能。今後もエコキュートと連携する機器は増やす計画だ。

 Pシリーズは370リットル、460リットル、550リットルの貯湯タンクをそろえる。サーモジャケットタンクは370リットルと460リットルで採用している。