2021.06.01 太陽電池出荷、2桁の減少幅追い風も制度改変期が影響、太陽光発電協会まとめ

大幅に出荷量が減少した太陽電池

 太陽光発電協会が5月27日に公表した2020年度の太陽電池出荷統計によると、モジュールの総出荷量は5312MWで前期比17%減、国内総出荷量は5128MWで同16%減と、いずれも2桁の減少幅だった。

 3年ぶりに減少に転じた結果となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことに加え、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の売電価格の下落や国の制度改変などの影響が色濃く出たとみられる。

 総出荷量で5670MW、国内出荷量で5246MWだった17年度以降、18年度(総出荷量5914MW/国内出荷量5507MW)、19年度(6430MW/6113MW)と回復傾向を見せていたが、20年度は減少した。

 同協会では「国のカーボンニュートラル宣言を受けて、さまざまな動きが加速している。制度の改変期でもあり、事業者が様子見をしている面がある」と推測する。

 20年度の国内出荷量5128MWの内訳は、住宅用途が871MW、非住宅用途が4256MWとなった。総出荷量、国内出荷量ともに、20年度は全ての四半期において前年同期を下回った。

 併せて、20年度第4四半期(21年1~3月)の出荷統計結果も公表された。モジュールの総出荷量は1198MWで、前年同期比25%減と大幅に減少。国内、海外出荷ともに前年同期を大幅に下回った。

住宅では堅調さも

 国内への出荷は1182MWで同23%減だった。用途別で見ると「住宅」が212MW、同5%減と堅調さも見られた。同協会は「建て売りなどで課題は残るが、ハウスメーカーは太陽光パネルの搭載率を高めている。その影響が出ている」と見る。

 一方で、売電を主目的とした出力500kW以上の大規模装置向けの「発電事業」は609MWで同31%減と、3割強の落ち込みになった。オフィスや工場、病院、公共施設などに設置する500kW未満の「一般事業」でも361MW、同14%減。計算機や時計など向けの「その他」は0.1MWで同75%減となり、軒並み2桁の前年同期比割れとなっている。

 日本企業だけに絞ってみても、一般事業が120MW(同26%減)にとどまるなど低調な結果が相次ぎ、全体でも556MW、同13%減だった。

 同協会は「地方自治体などに導入目標の設定を義務付けた地球温暖化対策推進法の改正案が成立するなど大きな追い風は続いている。一時的な減少トレンドに入ったが、国の推進策が整い、数年後には上昇傾向に戻っていくだろう」と分析している。

 第4四半期の調査は、国内に拠点を置く34社に協力を依頼し、29社から回答を得た。モジュールの出荷地別、生産地別の調査や、最大出力別の統計などをまとめている。