2021.06.02 全国の地域電器店をサポート鹿児島の南九州デジタル、セミナーなど開催

一般的な商売と”笑倍”の違いを解説

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オンライン配信の様子(今年3月、鹿児島市)オンライン配信の様子(今年3月、鹿児島市)

 【鹿児島】商売のみならず、地域や人とのつながり、信頼づくりに重きを置きたい―。そんな思いを抱く全国の地域電器店をサポートしているのが鹿児島市を拠点に時計、家電などの卸売・小売を手掛ける南九州デジタル(櫻木伸一社長)だ。「笑倍(しょうばい)繁盛事業部」を設けセミナーなどを催している。

「気付き」が強み

 先月19日、オンラインでは2回目となるセミナーに、全国の地域店関係者が集まるコミュニティ「絆之会」のメンバーら30人が参加した。同事業部の櫻木隆志事業部長が司会進行を務め、絆之会に加盟するサカモト電器(日立チェーンストール、静岡県焼津市)の坂本明弘さんがゲストスピーカーを務めた。

櫻木事業部長(左)と坂本さんの対談形式で行われた

 坂本さんは店で顧客や地元住民を対象に、認知症について学ぶ「認知症サポーター養成講座」を3回開催。「私たち店のスタッフもお客さまと一緒に学んだ。共感できることも多く、お客さまとの仲も深まった」と講座を続ける意義を振り返った。

 1月から坂本さんは、焼津市の依頼で認知症の人をサポートする「チームオレンジ」のリーダーの活動も始めた。チームオレンジは、講座を受講するなど認知症に関する知識を得た人たちがチームを組み、地域で見守りや手助けなどを行う。

 坂本さんはこうした体験から「お客さまとの距離が近く、小さな変化にも気付ける町の電器屋さんが認知症サポートを担う意義は大きい」と訴え、コロナ禍でも顧客と顔を合わせることのできる地域店の強みを強調した。

応援したくなる店に

 笑倍繁盛事業部の取り組みは個展やキャンペーンと違い、直ちに売り上げに直結しないが、櫻木事業部長は「(周囲が)応援したくなるお店になることで、自然と良いお客さんが引き寄せられてくる」と話す。目先の利益を追求するあまり、それが販売につながりにくくなるケースも少なくない中、地域や社会貢献を通じて信頼関係を構築し、地域に「ファン」を作ることが重要だと力を込める。

 セミナーで講演した坂本さんも、地域との関わりを重視し始めてからは「さかもっちゃん」と親しまれる存在に。「地域のつながりから商品の販売に至るケースが増え、自身も仕事にやりがいを持てるようになった」。

 笑倍繁盛事業部では、「トリセツ」と呼ばれるパンフレットやチラシ、ホームページの企画・作成を行っていて、サカモト電器での認知症サポーター養成講座のチラシ作成やイベント企画もサポートした。絆之会のコミュニティも運営し、志を共にする地域店同士が事例を共有し、学び合える場を提供している。

 今後も無料のオンラインセミナーを開催する。今回のオンラインセミナーの動画は、同事業部の公式サイト= https://www.sbhj.jp/ の問い合わせフォームから視聴できるほか、サイトで配布中の無料書籍に登録すると今後開催されるセミナーの情報を受け取れる。