2021.06.26 東芝、綱川氏が取締役会議長に声明で企業風土の見直し方針

東京都内で開いた東芝の定時株主総会=25日

 東芝は、定時株主総会で再任された綱川智会長兼社長CEO(最高経営責任者)が暫定で取締役会議長に就くと発表した。新たに選任された取締役会は「東芝の企業風土を改めて見直し、経営陣や従業員の士気風土に資する方策を検討する」などとする声明も公表した。

 昨年7月の定時総会の運営が公正でなかったとする外部弁護士による調査報告書を受けて「物言う株主」以外でも、永山治取締役会議長(中外製薬名誉会長)らの責任を問う株主の声が強まった。25日に東京都内で開かれた定時総会では、計11人の取締役選任議案のうち、永山氏ら2人の再任が否決。総会後の取締役会で、綱川氏が暫定的に議長を兼務する人事を決めた形だ。

 声明には、今後注力する五つの重点領域を明示。その一つとして「取締役会は将来に向けて安定と信頼を築くため、エンゲージメントと透明性の向上に努める」と表明した。

 さらに綱川社長の後継者の選定にも触れ、「最も優れた能力を有する者を選定すべく、社内外の候補者について検討を行う」と明記。企業風土の見直しに向けては、「過去の不祥事や財務問題を繰り返さないために極めて重要」との姿勢で取り組む決意を強調した。

 取締役の人数は、株主総会に諮る予定だった当初の取締役候補者案(13人)から5人減り、8人となる。

 各委員会の委員長については、監査委員会に元デュポン副社長で新任取締役の橋本勝則氏が、指名委員会には投資ファンド出身のレイモンド・ゼイジ氏が就任。報酬委員会には元イオン幹部のジェリー・ブラック氏が就く。取締役会による意思決定を支援する新設の戦略委員会の委員長には、ポール・ブロフ氏を選任した。