2021.07.02 【家電総合特集】東芝ライフスタイル小林伸行取締役社長

白物に集中へ体制切り替え
ユーザー・セントリック重視

 2020年度(1~12月)は増収増益を達成した。売り上げは2桁伸長となった。新型コロナの影響で巣ごもり需要などもあり、国内を中心に家電の販売が好調だった。

 昨年6月から、販売子会社の東芝コンシューママーケティング(TCM)経由でのテレビの販売や保守・サービスを段階的に停止してきた。今年4月からはテレビの販売を完全に取りやめ、白物家電に集中する体制に切り替わった。TCMの構造改革も一通り完了したため、これまで以上に収益を上げられる組織体制となっている。

 当社にとっては、今年度も半期が過ぎた。テレビの販売がなくなり、その分は減収となっているが、依然として力強い巣ごもり需要に支えられて、白物家電の販売は堅調だ。ここまでは増収増益を達成できている状況が続いている。

 ただ、当社でいう後半戦の7月以降は不透明感がある。為替や部品不足、部品の値上がり、輸送費の上昇など、これまではマイディアのスケールメリットを生かしてコスト低減を図ってきた面が、ここにきて逆風にさらされている。今年度も売り上げは2桁成長を目指しているが、利益に関しては、外的要因によるコストアップをどれだけ吸収できるかにも関わってくるだろう。本質機能の提案やモデルミックス型の展開なども推進し、収益を高めることにつなげたい。

 コロナの流行で生活スタイルやニーズは劇的に変化した。アフターコロナとなってもコロナ前の状況には戻らないだろう。在宅時間は長くなり、家庭内で快適性を高めたり、上質な生活を実現したりする家電に対するニーズは続く。おいしいご飯を作るための調理家電ニーズも高いままだ。

 当社としてもマイディアの技術を生かし、来年中には、空気清浄や除菌関係の製品を国内で展開したいと考えている。除菌関連の技術を応用した製品も、間もなく日本でリリースする予定だ。

 IoT家電のラインアップも増やしている。対応するコンテンツも充実させてきた。その半面、思ったほどにはIoT家電の接続率は高くないのが実情だ。

 IoT家電の中では、当社で最も接続率が高いのは洗濯機で約20%。オーブンレンジも接続率が高く、レシピとの連携が支持されているようだ。故障診断や見守りなどIoTを活用した機能を提案しているが、利用はなかなか進んでいない。

 IoT化を追求することも大事だが、当社は「ユーザー・セントリック」な視点を重視して製品を開発していく。この一年は、家電が必要とされていることを改めて認識することになった。お客さまの生活になくてはならないものとして、台数では厳しいが、製品の中身としては成長の余地が十分残されていると感じている。お客さまのベネフィットを追求することで、全てのステークホルダーから支持してもらえるようになることを、これからも目指していく。