2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組みNKKスイッチズ・大貫一光執行役員技術担当兼技術事業部長兼R&D部長

大貫 執行役員

品質へのあくなき追求

 NKKスイッチズは、全社方針として「品質へのあくなき追求」をモットーに掲げる。大貫一光執行役員技術担当兼技術事業部長兼R&D部長は「全社方針に沿って開発部門でも『品質第一』を方針に取り組んでいる」と話す。

 同社は2017年度から20年度まで、中期経営計画「Change100」(4カ年)を推進した。同中計では重点方針の一つに「モノ売りからコト売りへ」を掲げ、ソリューションビジネスの強化を進めた。「その方針に沿って、R&D部門でも、単にプロダクトアウトではなく、顧客の困り事を把握し、その解決のための商品開発に注力した」(大貫執行役員)。

 その成果として、鉄道車両などの用途向けのユニバーサルデザイン採用の防水構造照光式押ボタンスイッチ「TB01シリーズ」と業界最小クラスの非常停止用押ボタンスイッチ「FF01シリーズ」を市場投入した。タッチパネル事業でもソリューションビジネスの案件が増加している。

 同社は次期中期経営計画の実施に向け、新たなグループビジョン「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを、顧客目線で解決する、真のパートナーとなります」を策定した。21年度は過去4年間の事業の総括とともに、新たなグループビジョン実現への土台づくりの年と位置付ける。その上で22年度から新中計をスタートさせる方針。

 今後の取り組みについて大貫執行役員は、「引き続き、ソリューションビジネスに力を注ぐ。顧客の困り事の解決とともに、社内で困っている社員がいたらサポートすることも含め、広い意味での困り事解決に取り組む」と話す。

 同社の開発体制は、21年4月の組織改編で、「技術事業部」を新設し、傘下に操作スイッチやシートキーボードスイッチ(SKB)などを開発する「R&D部」とタッチパネルなどを開発する「特機部」を置く体制とした。「ソリューションへの取り組みが全社規模へと広がり軌道に乗ってきたため、ソリューション事業部は廃止した」(大貫執行役員)。

 コロナ禍の開発業務への影響は、「テレワークを取り入れ、CADなどはエンジニアが自宅で使用できる体制が整っている。ただし当社のモットーは「五現主義」であるため、在宅勤務で現物を手にできないことは課題と考えている」とする。「ニューノーマル(新しい日常)社会に向けた情報収集に努め、それを商品に活かしていけるよう柔軟に取り組む」。