2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組みアルプスアルパイン・笹尾泰夫取締役常務執行役員CTO

笹尾 常務

SDGsへ社会貢献エネルギー、自動車に重点

 アルプスアルパインは、持続的成長に向けた研究開発を推進している。統合シナジーを発揮し、最重点市場に掲げる自動車、およびEHII(エネルギー、ヘルスケア、産機、IoT)などをターゲットに技術開発を推進する。

 技術本部はグローバルで約4500人(国内約3000人、海外約1500人)体制。笹尾泰夫取締役常務執行役員CTOは「コーポレートの研究開発部とBUの開発部門の両輪で開発を進めている。分野別では売り上げの約7割を占める自動車関連の研究開発が増加している」と話す。

 研究開発は①RD(リサーチディベロップメント)②AD(アドバンストデザイン)③MD(マニュファクチャリングディベロップメント)の手法で行う。「RDは、シーズオリエンテッドで仮説に基づく開発を行い、それを顧客の長期の開発を手掛ける技術担当者に提案し、採用後、AD、MDに移行するのが基本。RDの基礎研究は公的研究機関や大学などとの連携を重視する。そして開発成果を社会実装していくのがわれわれの役割」(笹尾常務)。

 RDのテーマ選定は、社内のディスカッションを通じて行う。「グローバルマクロトレンドの重要テーマは、世界人口爆発、気候変動、エネルギー問題を含むSDGsへの社会貢献があり、そうした観点からテーマ選定している。中でもエネルギー問題は研究開発の重要テーマ。もう一つの視点は自動車の進化。CASEをメガトレンドした変化が起きている。コネクテッド化では、通信、エッジコンピューティングの進展で新たな価値が創出される。自動運転では、センサーやインフォテインメント系デバイスが創出され、AIによるデータ処理技術の需要も増える。完全自動運転では走行中の車内での快適な過ごし方も必要。当社は『移動を感動に』のコンセプトでキャビン全体を快適にする提案を行っている。EV化が進むと車は電子機器に近い製品になる」(笹尾常務)。

 車載向けでは、キャビン系ECUを統合した統合ECUを試作した。車室内で複数の音場を作り出す技術の開発なども進めている。

 アライアンス戦略にも力を注ぐ。技術を仕分けしオープンイノベーションでの開発を推進する。モノ売りからコト売りへの転換も推進する。「現在の業界エコシステムでは、価値が創出されるのはデータやサービス分野。データを収集し提供するなどのビジネスを強化している」(笹尾常務)。