2021.08.18 IIJ 新中計が好調なスタート 勝栄二郎社長がオンライン会見

オンライン会見で業績動向を説明する勝社長

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、新中期経営計画の初年度となる2022年3月期第1四半期(4‐6月)連結業績が、好調に推移した。既報の通り売上高が前年同期比5.2%増、営業利益が同113.0%増と倍増。また、当期利益は3倍増となった。オンライン会見で勝栄二郎社長は「利益は、想定を大きく超えて進捗している。このまま推移すれば、第2四半期時点で、修正の蓋然(がいぜん)性はかなり高い」など上方修正の可能性を含ませた。

デジタル化が追い風

 国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、持ち直しの兆しは出ているが、依然として不透明。ICT市場もデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)、働き方改革などが追い風になっているものの、企業のIT投資の先送りの傾向が見られ、不透明さを含んでいる。

 こうした中、同社の22年3月期第1四半期は、売上高が530億円、前年同期比5.2%増と堅調に推移。特に利益は想定を大きく上回り、営業利益が44億円、同113.0%増、当期利益が35億1000万円、同214.1%増と大幅な伸びとなった。

 第1四半期の好調な要因について、勝社長は「業績は極めて好調だ。リモートワークにとどまらず、全てのモノがインターネットにつながり、構築されるデジタル化が進展しており、追い風になっている」と説明する。

 事業分野別では、ネットワークサービスが、企業のIT利活用の進展に伴い、引き続き増収基調で推移。中でも、IPサービスが前年同期比13.7%増、「デジタル化にともないセキュリティー関連サービスも好調に推移」(勝社長)し、同15.0%増と高い伸びを見せ、WANサービスも同4.4%増と堅調だった。

SIが復調

 弱含みだったシステムインテグレーション(SI)も復調した。SI売り上げが同10.2%増、SI構築受注が同30.5%増となっている。SIは、インターネットゲートウェイ増強などオフィスのIT需要が活況だったほか、企業のネットワーク更新設計、ウェブ分離環境構築などの案件が増加した。大手金融機関向けインターネットゲートウェイセキュリティー強化、私大向けキャンパスネットワーク環境整備をはじめ大型案件の受注が増えた。また、「M&AのシンガポールSI子会社(PTC)も業績に貢献」(同)した。

 モバイルサービスは、法人モバイル売り上げが前年同期比40%増と大きく伸びたほか、多種多様なネッワークカメラの需要も拡大した。

 通期予想は据え置いたが、利益が想定以上の伸びで推移したため、第2四半期中に上方修正に踏み切る可能性も出てきている。

さらなる技術革新で成長

 同社は、今年度から新中期経営計画をスタートした。新中計では、24年3月期に売上高2700億円(21年3月期2130億円)、営業利益率9%超(同6.7%)を計画する。「コア技術であるネッワーク、セキュリティー、クラウド技術を基盤にさらなる技術革新を進め、新しい技術モデルやベストプラクティスをITサービスとして提供し続けることで、事業成長していくこと」を基本方針においている。