2021.08.19 【アナリストが読む】オンラインのセミナーから 上オムディア・南川明シニアディレクター

南川 氏

部品全般や半導体をモジュール化

 半導体や関連産業の在り方について考えるオンラインの催しを、英調査会社オムディアがこのほど開いた。「グローバル・セミコンダクター・デー」と題し、アナリストや識者らが登壇。オムディアの南川明シニアディレクターは次のように話した。

 電子機器産業の世界的市場は240兆円規模。このうち半導体自体で約50兆円になる。半導体の世界各地での分布は、消費地域(電子機器が製造される地域に着目したもの)、製造地のオーナーシップ(設備などの所有者に着目したもの)、生産能力立地(実際に生産する場所に着目したもの)の三つの側面で見ることができる。

 このうち、消費地別の規模を見ると、中国が最大で40%を「消費」している。日本を除くアジア全体でも7割に達する。アジアがエレクトロニクスの生産基地であることが分かる。残りが日本、米国、欧州などEMEAが1割前後という状況。

 一方で、製造地のオーナーシップ別で見ると、米国系企業が約半分を占めており、圧倒的。例えば、台湾のファウンドリーなどで米国資本の場合、米国企業にカウントされる。これでいくと、日本とEMEAは1割弱。韓国は15%、台湾7%、中国5%などとなっている。

 米国は、この強さを維持して、安全保障上のリスク回避を進めたいと考えている。

 また、生産能力立地面で見ると、米国、EMEAは1割前後。米国はオーナーシップベースでは高いシェアを持つ半面、国内生産が少ないことになる。一方、中国や韓国、台湾はそれぞれ2割前後を占め、合計で約6割に達する。

装置と材料の強み

 では、半導体製造装置はどうかを見ると、装置の供給メーカーのオーナーシップでは、日本が32%と強い。また米国は38%、EMEAが19%だが、中国系が急速にシェアを伸ばしているほか、韓国も国を挙げて力を入れている。

 また、材料でも日本は56%を占める。米国は5%、EMEA14%などにとどまっている。このように、装置や材料には日本の強みがある。

 ただ、世界各国ともサプライチェーンが変わりつつある中で、自国の位置を強化しようとしている。こうした中、日本でも取り組みが始まったが、例えば今後、古い前工程の工場を3Dの後工程の工場に転換していく、といったことも考えられるだろう。

 日本には電子部品全般、モーター、コネクター、基板、電池、ディスプレーといった強みがそれぞれある。

 それらをあたかもレゴを組み合わせるように、半導体も加えてモジュール化していく。そうした開発拠点を目指すのも一案ではないか。