2021.08.23 SMT各社、業績V字回復中国など設備投資需要拡大

中国を中心に売れ行き好調のSMT・同関連装置

 日本ロボット工業会のロボット統計によると、21年1~3月期に続いて4~6月期も受注額、生産額が四半期ベースで過去最高になり、出荷実績も輸出を中心に高水準の動きを示した。中国・アジア向け電子部品実装用ロボット(表面実装機)の輸出が好調で、4~6月期は5363台(前年同期比40.0%増)、776億円(同35.3%増)と大きく伸ばした。SMT業界の回復を裏付ける。

 FUJIの22年3月期第1四半期の4~6月業績は、売上高387億6100万円(前年同期比2.5%増)と微増収だったが、営業利益は88億4500万円(同37.5%増)、最終利益は63億6700万円(同30.7%増)と大幅に伸ばした。

 SMTを中心とするロボットソリューション事業は、同社の主力市場であるスマートフォンをはじめとする通信機器関連の継続的な設備投資、テレワークの普及によるパソコン(PC)・タブレットPC、車載関連、電子部品生産向けに需要が順調に伸びた。

 実装機ではハイエンドモデル「NXTR」を投入し、普及に努めた。同事業では新規事業として展開する宅配ロッカーシステム、小型多関節ロボット、移乗サポートロボット、大気圧プラズマユニットなども業績に寄与しつつある。21年度上半期の業績見通しも上方修正した。

YRH黒字転換

 ヤマハ発動機は、20年3月からの市況低迷が緩和して21年12月期第2四半期(1~6月)は全事業で需要が回復したため増収、営業利益は大幅増益となった。最終損益も前年同期損失から黒字に転換。実装機、産業用ロボットを軸としたロボティクス事業は、売上高592億円(前年同期比58.2%増)と伸ばした。アジア(中国・台湾・韓国含む)での販売が好調を継続し、欧米や日本の販売も回復して実装機の販売台数が大幅に増加した。

 また、グループのヤマハロボティクスホールディングス(YRH)も販売の好調に加えて、構造改革の成果が顕在化し、黒字転換した。YRHの加藤敏純会長は「発足2年間で事業基盤を固めてきた。3年目から本格的な事業を展開する」と述べる。

 JUKIは21年12月期第1四半期(1~3月期)において、第5世代移動通信規格5Gなどにけん引された半導体や自動車関連などの需要拡大により、業績は損失を計上した前年同期と比べ縫製機器&システム、産業機器&システム事業ともに大幅に改善した。その勢いを加速させ、21年度上期(1~6月)では売上高470億9800万円(前年同期比54.4%増)、営業利益19億800万円(前年同期は損失)、経常利益17億1600万円(同)、半期純利益12億2100万円(同)と黒字転換した。

 内梨晋介社長は「コロナ禍の影響、米国のバイデン政権による対中政策の影響によるサプライチェーン分断リスク、半導体など電子部品の供給不足への対応課題などはあるが、市場は回復傾向にある」と語る。

 通期では売上高1000億円(前年比42.0%増)、当期純利益20億円を予想し、うち産業装置事業は売上高377億円(同37.6%増)を見込む。実装ラインのトータル提案のため、自社製品以外の他社連携を進めている。

 高速コンパクトモジュラーマウンターのRX-7、同7Rに加えて、新たに10万CPHの高速機RX-8を7月21日から国内外の市場に投入した。

 SMT(表面実装)各社の業績がV字回復している。米中貿易摩擦、新型コロナ感染症の世界的拡大に伴う設備投資の抑制が続いたが、中国はじめ製造業が回復、増勢へと転じた。設備投資が活発化する中で、各社の業績は前年度の大幅な落ち込みから2021年4~6月期は一気に収益が改善した。