2021.08.24 電通国際情報サービス(ISID)、業績好調次期中計に向けDX加速

名和 社長名和 社長

 電通国際情報サービス(ISID)は、現在推進中の中期経営計画「ISID X(Cross) Innovation 2021」が、順調に進捗。2030年に向けた長期事業戦略とともに、次期中期経営計画の策定を開始した。

 先ごろ発表した21年12月期第2四半期(1~6月)は、減収減益となったものの、注力分野の製造ソリューション、コミュニケーションIT分野の拡大で、売上高で1.9%、営業利益で8.8%それぞれ計画値を上回った。

 同社の21年12月期第2四半期(1~6月)は、売上高が543億円、前年同期比98.7%、営業利益が65億円、同93.6%、四半期純利益が44億円、同97.3%で推移した。

 売上高は、マーケティングや会計領域などのビジネスが伸長したものの、複数の大型案件のピークアウトにより減収となり、また、利益についても、コンサルティングサービスおよびソフトウエア製品を中心に売上総利益率は向上したものの、人員増に伴う販管費の増加もあり、減益となった。

 受注は好調に推移している。受注高は646億円、前年同期比1.2%増となり、上期としては過去最高となった。また、受注残高は454億円、同9.8%増とほぼ2桁の伸びとなっている。

 製造ソリューション、コミュニケーションITが、期初計画を3.4%、4.1%それぞれ上回り、期初予想比では増収増益なった。

 セグメント別では、金融ソリューションは、次世代融資ソリューション「BANK・R」の販売・導入および金融機関向けのデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)支援案件が拡大したものの、大型案件の売り上げ計上が下期にずれ込んだ。

 ビジネスソリューションは、セグメントの移管などがあり、減収の要因となったが、注力する人事管理ソリューション「POSITIVE」や会計、経営管理などのソリューションは好調に推移した。

 製造ソリューションは、バリューチェーン全体の革新を目指す自動車、電気・精密機器産業向けに、コンサルからシステム開発、ソフトまで包括的に提供するDX案件が拡大した。

 コミュニケーションITは、複数の大型案件がピークアウトするものの、マーケティング領域を中心としたDX支援案件が増加となったことや、エンタープライズITを統合したことも寄与して前年同期比16.8%増と大きく伸びた。

 上期は期初計画を上回り、受注残高も高い水準で推移しているものの、今後の事業環境の不透明感から、通期予想を据え置いた。通期では、売上高1100億円、前期比1.2%増、営業利益125億円、同2.6%増、経常利益123億円、同6.9%増を計画する。また、営業利益率は11.4%とし、前期より0.2ポイントアップを計画する。

 同社は、21年度を最終年度とする中期経営計画のISID X(Cross) Innovation2021を推進、事業部門をまたいで顧客のDXを支援する案件など、新規事業の創出も加速している。

 名和亮一社長は「21年度は、中計の最終年度であると同時に、30年を見据えた活動の初年度と位置付けている。定量のみならず、定性面での目標達成に向け、しっかり活動していく。特にDX事業をさらに強化する」と強調する。