2021.08.26 【化学材料特集】ランクセス機能性色剤BLとのシナジー創出へ
大久保日本統括マネージャ
ランクセスは、ドイツの大手特殊化学品メーカー。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、中間体、難燃剤など多様な製品を供給しており、幅広い産業分野の発展に貢献している。
電機・電子および車載向けの難燃剤を含む添加剤事業は、ポリマーアディティブス・ビジネスユニット(BU)が管轄している。
同BUは①臭素系難燃剤②プラスチック添加剤③機能性色剤--を扱うビジネスライン(BL)で構成。機能性色剤BLは今年1月から新たにBUに加わり、液晶フィルター用の特殊顔料やエンプラ用染料などを供給している。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり・テレワーク需要の拡大により、昨年末以降、需要が急拡大。原材料の供給難とともに物流も混乱し、同社製品も供給が逼迫(ひっぱく)し始めた。
同BUの大久保雄二日本統括マネージャは「臭素系およびリン系難燃剤のほか、エンプラ用染料なども供給がタイト。顧客である樹脂メーカーの需要も旺盛で、顧客の要求に応えられるよう供給を絶やさず対応している。顧客の生産を止めないよう、安定供給を目指す」と話す。
同社は用途に応じて臭素系・リン系を含め、幅広い難燃剤を提供している。特に臭素系ではポリマー系難燃剤と反応性難燃剤を取りそろえ、環境に配慮した持続性ある製品の開発を進めている。
世界的な環境負荷低減の動きは、同社製品の需要拡大を後押ししている。臭素系難燃剤の中でも含有化学物質が動植物に取り込まれにくいポリマー系難燃剤に注力し、ビジネス拡大につなげている。
中でもポリ臭素化スチレン(PBS)はエンプラ向けなどで需要が好調。臭素化カーボネートオリゴマーも、PBTなどエンプラ向けで引き合いが強まっている。
大久保統括マネージャは「化学物質規制は世界的な流れ。当社は幅広い製品群を持ち、代替製品を提案することもできる。しっかりと情報を収集し、迅速に対応したい」と話す。
同社はこれまで、M&Aを通じて事業ポートフォリオを拡大してきた。今年8月初旬に米エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収を完了。同社はフレーバーや香料を化粧品や高級フレグランス、食品向けに供給するほか、工業用途には非フタル酸系可塑剤などを供給している。
「新たに加わった機能性色剤BLも含め、今後は既存事業とのシナジーを生み出していく」(大久保統括マネージャ)とし、新たな事業創出を目指す。