2021.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】NECソリューションイノベータ 杉山清社長
杉山 社長
ヘルスケアなど3分野開拓に重点
今年度上期の事業は計画通り推移しそうだ。IT投資は回復傾向にあり、順調に受注が積み上がっている。ただ、新型コロナウイルスの感染再拡大が顧客企業に影響を与えるリスクがあり、エンタープライズ事業の取引先の回復状況を見ると、まだら模様だ。世界的な半導体不足という懸念材料もあり、動向を注視したい。
NECは、25年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を策定した。施策の一つが「国内IT事業のトランスフォーメーション」で、20年度に8%だった営業利益率を25年度に13%に引き上げる目標を掲げた。
中計では、コンサルティングからデリバリーまでの一貫したアプローチに注力し、成長分野で事業機会の拡大を狙う方向性も示した。そうした取り組みの一翼を担う。
例えば、SAPの次世代ERP(統合基幹業務システム)システムを活用して顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)に貢献したい。またNECは4月、社内の変革プロジェクトをけん引する専門組織「トランスフォーメーション オフィス」を発足させた。約500億円を投じて変革を進める計画で、その取り組みの一助も担っていく。
独自に開拓する重点分野は、引き続き「ヘルスケア」「スマートシティー」「働き方」の三つだ。ヘルスケア事業の拡大に向けては、疾病の発症リスクを予測し健康改善につなげるサービスなどを手掛ける全額出資の新会社「フォーネスライフ」が順調に立ち上がり、先行投資を行っている。微量の血液を分析し、がん発症のリスクを測るサービスも始める。
デジタル庁の発足を機に、行政サービスの裾野が拡大することも期待しており、ビジネスチャンスを拡大したい。既に自治体向けでは、保育園入園選考の業務効率化を支援する人工知能(AI)を活用したマッチングシステムの実証実験を進めた。
クラウドベースのサービスニーズを踏まえ、エンジニアの「クラウドシフト」も進めたい。市場を予測し、中期的な視野でどの程度の人材がいるかを考えたい。