2021.09.29 【ASEAN特集】スミダコーポレーションスミダ・エレクトロニック・ベトナム

ベトナム・ハイフォン工場外観

佐藤 GD佐藤 GD

生産改善や製品立ち上げ迅速に

 スミダコーポレーションは新中期経営計画で、ベトナムを製造拠点多角化と生産コスト低減のための重要拠点に位置付けている。ベトナムでは北部ハイフォンと中部クアンガイに工場を展開。ベトナム2工場の強みを生かし、グループ工場間で連携することにより、米中貿易摩擦やコロナ下でも顧客に製品を安定供給できる体制を構築している。

 ハイフォン工場「スミダ・エレクトロニック・ベトナム」は10年2月に設立され、電子機器向けインダクター、トランスを主力に生産を行う。

 同工場の佐藤敏治GDは「ベトナム最大の輸出港ハイフォン港と近接し、海外調達や完成品出荷がしやすいことが利点。優秀なベトナム人エンジニアを採用しやすく、日本や中国の開発拠点と連携し、生産改善や製品立ち上げを迅速に進められるのも強み」と説明する。建屋延べ床面積約5000平方メートル。従業員数は600人弱。

 16年創業のクアンガイ工場は車載向けコイル部品などを生産し、22年に第2工場稼働も予定している。

 ベトナム工場はグループの成長をけん引する輸出拠点として重要な役割を担う。近年はインド向けが増加しており、19年にはインドに販売拠点を設立した。ベトナム内需も、地場資本のEVや家電の現地開発・生産の拡大で電源制御用コイル部品の内需増大が期待されるため、国内顧客向けの営業機能・開発窓口の拡充も今後検討していく。

 生産革新は、複数品種の合理化ラインでの混流生産に取り組んでいる。専用投資では投資回収が難しかった中少量の製品も混流ラインでの3直連続稼働で投資回収が見込めるようになり、自動化投資をさらに加速という好循環が生まれている。昨年からIoTとウェブカメラも導入。自動機の稼働状況や工程内不良発生をスマートフォンで閲覧・通知可能になった。

 ここ数年で設備や部材のASEAN現調率を倍増させ、設備製作も一部内製化した。中国工場からの生産移管に依存した分工場との位置付けから、新製品を拡販できる市場競争力を持つ工場への変革を進めている。