2021.09.29 「想像」するAI開発へタッグ東大とNECなど講座開設

オンライン会見で「世界モデル」について説明する松尾教授

経験学び個別指示なしで行動 

 人工知能(AI)が経験則を学んで次に起きることを「想像」し、個別の指示がなくとも仕事をこなす――。AIが人間のような想像力を学習していく「世界モデル」と呼ばれる技術の研究開発に向け、東京大学大学院とNECなど民間企業3社がタッグを組み、寄付講座を開設することになった。AIによる「言語の意味理解」や「運動の習熟」の鍵を握る世界モデルの構築に向けた官民一体の取り組みだ。

 今回開設する「世界モデル・シミュレータ寄付講座」には、NECのほか、ゲーム開発でAIのノウハウを持つスクエア・エニックスが2020年に立ち上げた「スクウェア・エニックス・AI&アーツ・アルケミー」とソニーグループが寄付企業として参画。各企業が資金や知見を提供し、人材育成や研究開発を協働して推進していく。講座は26年6月までの最大5年間、東京大学大学院工学系研究科で行う。

 国内のディープラーニング(深層学習)の研究開発をリードする同研究科の松尾豊教授は「人間は学んできた経験から、脳内のシミュレータのようなものが次に起きることを想像している。データによって外界の変化を学習していくシミュレータを世界モデルと言っている」と説明。「今後のAIの開発には世界モデルを持っていることが強い競争力になる。深層学習の研究、社会実装は第2ステージに入ってきた」と力を込めた。(詳細は30日付の電波新聞、電波新聞オンラインに掲載します)