2021.10.04 三菱電機、検査不正の再発防止策発表品質風土改革、組織風土改革、ガバナンス改革の三つが軸

1日付で会長を辞任した柵山氏

 三菱電機は1日、名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)と長崎製作所(長崎県時津町)で行われていた品質検査不正について、調査委員会(木目田裕委員長)の調査報告を受けて再発防止策を発表した。

 再発防止策は品質風土改革と組織風土改革、ガバナンス改革の三つが軸。品質風土では、1日付で社長直轄の「品質改革推進本部」を設立し、グループ全体の品質ガバナンスの強化を目指す。来年4月には品質担当執行役員を外部から招へいする予定だ。

 組織風土では、全社変革プロジェクト「チーム創生」を10月に立ち上げ、社内公募で約40人を選抜して推進する。閉鎖的な組織風土の打破を目指した人事制度の導入なども進める。

 ガバナンス改革では、取締役会議長に社外取締役を選任するほか、内部統制システムやガバナンス体制の検証を行うために、「ガバナンスレビュー委員会」を、来年3月をめどに設置。これらで改善を目指していく。

調査結果が報告された会見場の様子

 1日付で辞任した柵山正樹会長と、漆間啓社長CEOの会見での主な一問一答は以下の通り。

―現場との距離を詰められなかったのはなぜか。

 柵山氏 社長時代は頻繁に現場に出向き、話を聞いていたつもりだったが、私に対してポジティブな印象を持っている人が意見を言ってくるだけと株主に言われ、どきっとした。もっと早く気づくべきだったと思った。

―現場との断絶といった問題だけではない気がする。

 柵山氏 改革に向けて「チーム創生」と名付けたチームで、いろいろな提言を社員から出してもらう。これには、期待している。

―経営陣の本気度が足りないと報告書で指摘されている。

 柵山氏 社内の生え抜きが経営陣になっている。社員が情報の隠ぺいをするわけがないと思ってしまう危険がある。私は(社員)肯定型のサングラスで見てしまう。つっこみが足りなくなり、違った見方をした方がよいのではないかと考えている。

―「工場あって会社なし」という認識はあったのか。

 漆間社長 工場ごとに損益が与えられていて、計画達成に向けてやろうというのが強くあったのではないかと思う。本社は、事業本部ごとに売り上げ、損益を提出しており、相談できないこともあったと認識している。

―調査委員会の報告内容と違うと認識しているところはないのか。

 漆間社長 調査委員会と会話しながら、結果が正しいのか見てきた。内容はしっかりと実施していかなければならいない問題ととらえている。

―改革案を出すのは早すぎるのではないか。

 漆間社長 社長に就任した際、こういうことをやっていかなければならないと考えていた。三つの改革を示して実行しようとしている。これからの調査結果に合わない場合は、すぐに見直しをかける考えだ。

―企業風土は長く培われたもの。どう変えていくのか。

 漆間社長 長崎製作所には9月に行き、従業員全員と話してきた。これまで自分が不正をしていると言えなかった。言える土壌を作れなかったことに対して心からお詫び申し上げた。一度全部出してもらい、スタートできないかと思っている。

―2300件以上の品質に関する申告があった。

 漆間社長 出し切りたいという私自身の気持ちもあったし、杉山(武史)前社長がビデオメッセージでも出して欲しい伝えていた。次の風土改革につながると信じている。

―役員や従業員の処分については。

 漆間社長 ガバナンスレビュー委員会を10月に立ち上げる。3人ぐらいで構成し、12月までには執行役の責任を明確化してもらいたい。アンケート調査に応えていただいた従業員の責任は問わない。

―改革の実効性を高めるポイントは。

 漆間社長 外部役員を登用したい。少なくとも3人は登用できたらと思っている。外の率直な意見を取り入れて変えていく。