2019.11.28 美しい歩行姿勢を実現 クラウドファンディング活用 NECとFiNC共同開発へ

A-RROWG(左が小型センサーを内蔵したインソール。スマホには歩容を可視化する数値などが表示される)

歩行データはほぼリアルタイムでスマホにも表示して確認ができる歩行データはほぼリアルタイムでスマホにも表示して確認ができる

Makuakeサイトのオープニング(関係者らがサイトオープンボタンをクリックした、写真中央が藤川NEC執行役員、中央右が木内マクアケ取締役、右が村上FiNC部長)Makuakeサイトのオープニング(関係者らがサイトオープンボタンをクリックした、写真中央が藤川NEC執行役員、中央右が木内マクアケ取締役、右が村上FiNC部長)

 NECとFiNC Technologies(東京都千代田区)は27日、クラウドファンディングを活用し、美しい歩行姿勢を実現するための製品サービスを共同で開発すると発表した。

 NECが開発した小型歩行分析センサーを組み込んだインソール(靴の中敷き)とFiNCのウェルネスサービス(健康促進サービス)を組み合わせる。

 マクアケ(東京都渋谷区)のクラウドファンディングで市場の声を聞きながら、20年春のサービス化を目指していく。

 開発するサービス「A-RROWG(アローグ)」は、NECが独自開発した歩行の状態を計測できる小型センサーを内蔵した中敷きと、歩行の質でもある「歩容」をチェックしてアドバイスするスマートフォンアプリで構成。

 スマホとセンサーを連携させれば普段の歩行から歩容推定モデルが導き出され、推定モデルに応じた改善アドバイスやトレーニングメニューを示す。

 推定結果を基にしたアドバイスには、FiNCが展開するヘルスケアプラットフォームと理学療法士をはじめとした運動分野の専門家の知見などを生かし、アプリ自体がパーソナルトレーナーとなり歩行改善と健康促進を図っていく。

 サービスは「品格をあげる歩行を。」がコンセプト。藤川修NEC執行役員は「まず30-40歳代の男性をターゲットにする」という。同日からマクアケのサイトをオープンしており、1足2万円で最低50人を募集し、意見などを聞きながら事業化を目指す。

 「アローグ」は自分の靴の大きさに合わせて選べるため、自分の好きな靴で歩容の矯正ができる。NECのセンサーは歩幅、歩行速度、足の角度、足上げ高さ、つま先の向きといった項目を測定。ユーザーは意識することなく歩行状態を計測できる。

 3次元測定したデータは数値として見られるほか、姿勢のタイプや歩行分析スコア、定期レポートなどでも確認できる。動画によるトレーニングメニューも見られるため、効率よく歩容を改善していける。

 FiNCは7年目のスタートアップ企業で、提供するヘルスケアに特化したプラットフォームアプリは専門家監修による健康全般をサポートする。すでに累計800万ダウンロード、51億以上のデータを保有している。スポーツ科学分野の博士や研究者、理学療法士、トレーナーなどの専門家の知見を組み合わせたサービスが特徴だ。

 協業により歩容に関して個々の課題に応じた最適なアドバイスをしていく。FiNC社の村上真ライフサイエンス部長は「今回はナレッジの領域でプロジェクトに参加。歩容というテーマで美しい歩き方を一人でも多く手に入れてほしい」と話した。

 クラウドファンディングサービスを提供するマクアケは、毎月新規に約250プロジェクトを進め、累計約7000プロジェクトを実施。マクアケ木内文昭・共同創業者/取締役は「在庫を抱える前に購買データを得られるため、反響のあったものを量産化できる。研究開発技術の出口戦略になる」とみる。NECの技術とFiNCの知見、マクアケの戦略を組み合わせ事業化につなげていく計画だ。