2021.12.04 【この一本】「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」(配給:キノフィルムズ)

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 1998年、米オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)が、ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)から、ある依頼を受ける。

 大手化学メーカー、デュポン社の工場が廃棄物によって土地を汚し、190頭もの牛を病死させられたという。確信もなく調べを進めるロブは、デュポンが発ガン性を含む有害物質の危険を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたことを突き止める。7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切るロブ。強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れる―。

 作中に流れる「カントリーロード」が作品への没入感を助長させる。歌に耳をすませば、自然に囲まれたウェストバージニア州の美しい風景が広がり、工場廃棄物とのギャップにじわじわと胸が痛み、ウィルバーやロブの気持ちや行動に共感を覚える。監督はトッド・ヘインズ。

 17日からTOHOシネマズシャンテほかでロードショー。