2022.01.07 【製造技術総合特集】プリント基板検査装置 より精密に検査する3D方式主流に
JUKIの金属部品を対象にした外観検査機「SE1000」
金属部品などへの応用進む
プリント基板検査装置は、「はんだ印刷検査装置(SPI)」と「外観検査装置(AOI)」があり、プリント基板の良否を左右する重要な役割を担う。
「スマートファクトリー」に注目
IoT技術を駆使し、表面実装工程を全自動化する「スマートファクトリー」が注目され、プリント基板検査装置もスマート化が進む。プリント基板検査装置で不具合が判明した場合、前工程のはんだ印刷機、表面実装機に信号を送る(フィードバック)ことで、不具合を自動的に修正する自己完結型が普及を始めている。
はんだ付け不良は、はんだ過多・不足、位置ズレ、ボイド、クラック、ブリッジなどさまざま。例えばプリント基板に、印刷されたソルダーペーストと部品電極、またはBGA部品のはんだボールが接合しないはんだの接合不良「枕不良」だと、BGA部品ボール表面への異物付着、基板の反り、ソルダーペースト印刷不良などがある。
AI技術により短時間でデータ作成
従来はプリント基板の平面(2次元)に光を照射して画像処理する「2次元(2D)方式」で検査していた。最近は平面検査に高さ検査も加え、より精密に検査する「3次元(3D)方式」が主流になっている。3DによりICリード浮き、はんだ量検査なども可能になる。検査アルゴリズムに人工知能(AI)技術のディープラーニングを応用するケースも増えている。AI技術により部品種類の分類後、部品高さ・色から部品位置・リードの位置・本数などをを自動認識し、検査データを自動生成するため、作業者の習熟度に関係なく、短時間でのデータ作成が可能になる。
プリント基板検査装置をSMT以外の検査に応用する動きも出ている。JUKIは、自動車などの金属部品の不良有無の検出や、寸法などを計測する外観検査機SE1000を2021年12月に発売した。
SE1000は、1200万画素ハイフレームレートCMOSカメラを搭載し、高輝度白色三段LED照明と同軸照明を用いることで、鮮明な画像を撮像。検査精度12マイクロメートルの高精度で対象物最大幅600×奥行き590×高さ300ミリメートルまでのさまざまな部品の検査を一台で可能にした。
装置のベースとなるフレームは、鋳物を採用。CAE(コンピューター支援解析)・モーダル解析、サーボ特性解析などのフレーム設計技術により、高剛性のフレームで光学ヘッドユニットの高速稼働を実現している。また、装置間のXY軸位置、照明輝度、ホワイトバランス、分解能などの補正技術により、装置の高い繰り返し精度を維持し、個体差のない「機差レス」を実現した。自動車関連などの金属部品の不良の高速・高精度な検査を可能にし、人手の掛かる検査工程での脱技能化、省人化、効率化に貢献する。
電子部品の極微小化、高信頼性・高品質化に対応
東京ウエルズは、電子部品向けのテーピング機、測定検査機、外観検査装置、電極塗布機を広く展開してきた。
電子部品に対する生産拡大需要と併せ、微小化トレンドは継続しており、「高品質・高信頼性」に伴う観点から、それらを保証する検査ニーズはより顕著になってきている。同社はこれらの社会変化と、市場要求から既存の検査機や主力製品であるテーピング機の処理能力向上は、22年も継続課題として進める。
近年のテーピング機の取り組みでは、0201(ミリメートル)サイズ対応をコンデンサーだけではなく、抵抗やインダクターなどの品種にも取り組みを広げている。また、外観検査装置についてはAI機能を搭載した製品を市場投入し、検査アルゴリズムの複雑な構成や判定閾値の設定など、熟練が必要な設定などの簡素化を実現した。
さらに20年から販売を開始した新型外観検査装置「MMVH(Multi-Module Vision Handler)」は、22年も異形部品や中サイズ以上のデバイスへの対応を進め、さまざまなサイズや形状のワークに対して柔軟な変更をすることで、異形電子部品用の検査装置ラインアップの拡充を図る。
新たな事業領域への展開も
22年も昨年同様に主力商品の処理能力向上を進め、検査技術による高品質・高信頼性を高いレベルで実現することが基本戦略となる。そのほか、非破壊検査など新たな事業領域への展開に取り組んでいる。