2022.01.14 ショッピングカートを除菌深沢製作所が自動運転ロボットを自社開発

長谷川部長(左)と高須社長

高い加工技術で製作されたNWK-7000高い加工技術で製作されたNWK-7000

深沢製作所の外観深沢製作所の外観

深沢製作所神奈川工場深沢製作所神奈川工場

 精密な板金加工を得意とする深沢製作所(東京都世田谷区)は、スーパーなどで使うショッピングカートを除菌できる自動運転ロボット「NWK-7000」を自社開発した。

 1968年の創業以来、受託加工を事業の柱にしてきた従業員50人ほどの同社。高須充社長は「モノづくりを大切に、新しいものを生み出す喜びを社員に感じてもらいたい」とし、自社製品の開発にも力を入れる。

 同社の生産拠点である神奈川工場(神奈川県中井町)は、敷地面積が4620平方メートル、建物面積が2162平方メートルあり、年間2000件以上の異なった形状の精密板金加工ができる技術力と生産力を持つ。78年には、放電加工機で材料積層による製品加工を日本で初めて開始するなど、革新的な活動を続けてきた。独自の「社員教育マップ」を作成し、技術力だけでなくコミュニケーション能力やリーダーシップ、ビジネススキルなど従業員のスキルアップにも力を入れる。

 工場には日本に数台しかないアマダ社製のアストロシリーズで、曲げ加工ができる1台1億円の全自動プレスブレーキを導入。無人運転ができるため、コストダウンと効率化を両立した。高須社長は「必要な投資は行い、柔軟に機械を取り入れる。品質向上にもつなげる」と話す。

 高品質・短納期・低価格の量産を得意とする同社が、2021年1月から開発に着手し、6月に完成させたのがNWK-7000。不特定多数の人が触れるカートに深紫外線(UV-C)を自動照射することで、安全に除菌する製品だ。

 本体に内蔵したセンサーで不規則に並べられたカートの位置を自動認識。対象となるカートに対し、除菌するための適切な位置へ速やかに本体が移動。人が触れる部分に深紫外線を照射して除菌する。この一連の流れを、カートが返却されたことを自動認識して実行する。開発部の長谷川範夫部長は「機能や安全性はもちろん、見た目にもこだわった」と力を込める。

 NWK-7000には、板金加工を長く行ってきた同社ならではの技術が詰め込まれている。細かい加工が施されたパーツが寸分の狂いなく組み合わさっている。高い加工技術のたまものだ。指定した文字を側面に入れることができるのも、1個から量産まで受注する同社ならではの強み。

 「日常生活にすら不安を感じるコロナ禍、自分たちでもできることをやりたかった」と高須社長。NWK-7000を設置することで、顧客の安心・安全はもちろん、そうした取り組みを十分に行っているのを示すこともできる。

 同社は現在、新製品も開発中。今後も自社開発品を通し、モノづくりの喜びを求めてさまざまなアイデアを形にしていく。