2022.01.14 日立、日立建機株を半分売却伊藤忠などに1824億円、グループ再編の総仕上げ

日立建機の平野社長兼CEO

 日立製作所は14日、約51%を保有する上場子会社の日立建機株式のうち26%を、伊藤忠商事と国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)の折半出資会社に売却すると発表した。売却額は約1824億円。ITを主軸とする成長分野に経営資源を集中投下する一環で加速してきたグループ再編の総仕上げとなる。

 特別目的会社(SPC)を設立し、伊藤忠とJIPが折半出資。SPCが日立建機株を26%取得し、筆頭株主となる。6月の株式譲渡を予定している。

 日立の議決権比率は25.4%に低下し、日立建機は連結子会社から持ち分法適用会社に移行する。ただ今後も、日立ブランドを継続的に使用するとともに、研究開発や部品取引などで日立グループとの連携を維持する。

 遠隔監視で建設機械の故障リスクを把握する日立建機のサービスには、日立グループがデジタル事業の中核に据えるIoT基盤「ルマーダ」を活用してきた。日立建機は今後も、日立グループのブランド価値の向上に加えて、ルマーダ事業の拡大にも寄与したい考えだ。同社の平野耕太郎社長兼CEOは同日の説明会で、今後の日立グループとの関係性について、「一緒になって日立建機の成長戦略をサポートしてくれる。ルマーダや環境対応に貢献するという期待にしっかりと応えたい」と強調した。

 日立建機と伊藤忠はインドネシアで共同事業を展開するなど深い関係にある。今回の資本提携を弾みに北米市場で販売拡大を狙うともに、金融事業を強化したい考えだ。

 日立は売却により2023年3月期に事業再編の利益として約770億円を計上する予定。売却で得られる資金は財務基盤の強化や株主還元、成長投資の原資として生かすとしている。