2022.01.19 【ICT展望 2022】エプソン販売 鈴村文徳社長

エプソン販売の鈴村社長

インクジェット技術で環境面に貢献
ニーズに合わせ「コト」提案行う

 ―コロナ禍という不透明な経済環境の中で、働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)などが進みました。ICTの市場動向をどう見ていますか。

 鈴村社長 お客さまも、まだいろいろなものに積極的に投資をするところまでは至っていない。ただ一方で、働き方改革などテーマが明確なところへは、しっかりと投資が行われている。将来へ向けた投資など選別されてきた。前例踏襲的な投資から、デジタル変革や働き方改革などへの投資へ変わりつつある。

 ―主力商品であるプリンターやプロジェクターの市場動向はどうですか。

 鈴村社長 半導体に代表される部材不足で、供給面で影響を受けた。プリンターは、出社率の減少もあり、オフィスの需要が低調だった。企業の働き方改革が進む中で、需要も変化してくる。一方、在宅勤務、在宅学習の需要が伸びている。

 ―コロナ下で、経済環境は改善しつつあります。2022年度の市場見通しについてはいかがですか。

 鈴村社長 これまで控えていた企業の投資が上向く。この21年度4Q(1~3月)も、商品供給次第だが、需要の活性化を期待している。22年度も、新しい時代に向けての投資は増えてくる。働き方改革、DXが本格化する。もう一つは環境だ。お客さまの生産性向上に継続的に取り組むと同時に、環境面からも貢献していきたい。

 ―重点的に取り組まれている商品戦略、ソリューション戦略をお願いします。

 鈴村社長 当社は、インクジェット技術で世の中を革新していくことをテーマとして取り組んできているが、さらに加速させた一年だった。プリントの使用状況に応じて、最適なプランや機器を選べるサービス「スマートチャージ」では、文教市場向けの「アカデミックプラン」を展開している。先生方の働き方改革など業務効率の向上だけでなく、生徒の学びの向上にも寄与している。21年も多くの学校現場で導入されたが、22年も引き続き注力する。電力消費の面からも高く評価していただいている病院など、医療分野への提案にも力を入れている。

 また、スマートチャージの新プランとして「ペーパーレスサクセスプラン」の提案を開始した。基本使用料金(月額)と基本印刷枚数を5年間で段階的に下げていくプランで、お客さまに寄り添いながらオフィスのペーパーレス化をサポートしていく。大容量インクタンクモデルが、世界累計販売台数が6000万台(21年6月)を達成した。国内販売も好調だ。

 プロジェクターは、巣ごもり需要で家庭用は好調だ。また、イベントも開催されるようになり、大型の需要も堅調だ。オフィス向けは、まだ厳しいところがある。

 大判プリンターなど商業印刷向けも商品のパフォーマンスを上げ、ラインアップを充実させた。幅広い需要に対応できる態勢が整った。将来の成長ドライバーとして力を入れている産業用ロボットは、専任の販売組織を作り、積極的な展開を行っている。

 ―エプソングループは、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」で、「環境」「DX」「共創」を掲げています。

 鈴村社長 大きな環境変化をしっかり捉え、お客さまのニーズに合わせ、付加価値を提案していく。お客さまが求めているのは「モノ」ではなく「コト」だ。お客さまにしっかり寄り添い、環境価値を提供していきたい。