2022.01.20 【ICT展望 2022】東芝テック 錦織弘信社長

東芝テックの錦織社長

流通業界のソリューションパートナー目指す    

MFPと連携したデータマネジメントなど加速

 -長引くコロナ感染拡大で、国内外の市場環境も大きく変わりました。2021年度の業績の振り返りからお願いします。

 錦織社長 当社は、東芝グループの中でもコロナ禍の影響を最も受け、20年度に構造改革と同時に、ビジネスモデルの転換に踏み切った。21年度からは〝攻めの経営〟に転じている。こうした効果もあり、21年度の業績は大きく改善してきている。成長事業のリテールソリューション事業(POSシステムを中心としたリテール事業)は、グローバル展開、パートナーシップも強化している。成長領域ということで投融資にも力を入れている。ワークプレイスソリューション事業(MFPほか)は、維持領域として収益改善が進んだ。

 -〝攻めの経営〟で目指される姿はどのようなものですか。

 錦織社長 当社は、流通業界でそれなりのポジショニングにある。顧客基盤やメンテナンスなどのサービス網をアセットに、流通業界でグローバルトップのソリューションパートナーを目指している。従来のハード主体のベンダーからソリューションパートナーへ転換していく。このためには、戦略パートナーとのパートナーシップが重要になる。昨年10月には、東京・品川に先端ソリューションラボ兼ショールーム「TEC 01 SIGHT」をオープンした。この1年間で約1700人(500社)が来場した。新しい顧客接点を提案するお客さまやパートナーとの共創の場となっている。

 -POSシステムでは、圧倒的なシェアを持っています。充実したアセットが東芝テックの強みですね。

 錦織社長 顧客基盤とサービス網のタッチポイントが当社の強みだ。国内ではPOSシステムで約5割のシェアを持ち、サービスも約100拠点で1500人の態勢だ。世界トップ10リテーラーの内、7割が米国企業だが、このうち5社が当社の顧客。こうしたアセットを強みに、グローバルでフィジカル・サイバー融合を加速させ、本格的にデータの利活用を進めていく。

 日米連携してグローバルプラットフォーム「ELERA-Retail(エレーラ リテール)」を共同開発している。データの利活用を実現するプラットフォームを提供、流通業界のプラットフォーマーを目指したい。

 -昨年、「プリンティング・ソリューション事業本部」を「ワークプレイス・ソリューション事業本部」に変更しました。

 錦織社長 市場環境が大きく変化している中で、オフィスの「働き方改革・生産性向上」を支援する新たなサービスの提供などに力を入れる。MFPと連携したデータマネジメントなどを加速させる。

 -中期経営計画で目指す数値目標は。

 錦織社長 23年度に売上高4400億円、営業利益290億円、営業利益率6.6%を目指している。経営効率の改善と効果的な資源投入により、収益基盤を強化していく。投融資も、21年度から3年間で310億円の投融資(18~20年度実績20億円)を計画している。