コロナ禍で新しい生活様式が浸透し、在宅時間が増えたことで、室内の空気質に対する関心は高まっている。IAQ（インドア エア クオリティー＝室内空気質）向上に向けたさまざまな機器も充実し、ユーザーの清潔・快適ニーズに応える商品戦略が活発になっている。

　室内の空気質が、暮らしや仕事に心理的に大きな影響を与えるようになり、清潔や快適、健康に対する関心は高まっている。

　空気清浄機の出荷台数は、昨年度過去最高の出荷台数を記録するなど、IAQ向上につながる機器の需要は大きく伸びている。

　室内の空気質を高めるための機器は幅広く、主要な商品ではルームエアコンや空気清浄機、換気扇などが挙げられる。

　室内の快適な湿度を保つ加湿器も注目を集めている。特に適度な湿度（40～60％）を維持することによるウイルス対策への効果はよく知られている。

　空気清浄機では、加湿機能を搭載した複合モデルが主流となるほか、花粉対策やハウスダスト対策を目的に購入する人が多く、イオン発生機能や花粉の集じん性能が購入時の重視点として挙げられ、各社は電気集じん性能の向上やイオン発生機能の進化、静音性、デザイン性など、商品戦略の総合的な強化に力を入れている。

　空気質に対する重要度は、この一年で従来と比べて高まったと考えるユーザーは増えており、今期もIAQ向上につながる機器へのニーズは高く、根強い需要が見込めそうだ。

パナソニックの主力製品

「ジアイーノ」に加湿機能を搭載

除菌脱臭、潤いも届ける

　パナソニックは、室内空気質（IAQ）向上に向けた商品戦略に力を入れ、新しい生活様式の浸透で高まる清潔・快適ニーズに応える。

　除菌・脱臭に効果を発揮する次亜塩素酸　空間除菌脱臭機「ジアイーノ」では、昨年秋からジアイーノとして初めて加湿機能を搭載したF-MV4300（18畳タイプ）／同MV2300（12畳タイプ）2機種をラインアップした。より清潔・快適な室内空間づくりに貢献する。

　料理や生ごみのニオイなど、気になる生活臭を次亜塩素酸で素早く分解脱臭する。これにより、ニオイが布製品に染みつくことも抑える。フィルター通風面積を拡大し、ペット臭の脱臭スピードは同社従来品比で約16％アップしている。

　新搭載の加湿機能では、新開発の風路切り替え機構により、フィルターへの送風量を増やしたことで、除菌脱臭しながら季節に応じて加湿量を選べる。

　乾燥が気になる季節には、最大加湿量650ミリリットル／時（F-MV4300の場合）の加湿「多め」運転でしっかりと潤いを届ける。

　空気清浄機では、「ナノイー」比100倍の量のOHラジカル（毎秒48兆個）を生成する新「ナノイーX」を搭載。花粉を99％抑制する時間が、同社従来品比4分の1になった加湿空気清浄機プレミアムモデルF-VXU90をはじめ、多彩なラインアップで市場ニーズに応える。

　好評の「3Dフロー花粉撃退気流」と合わせた独自の花粉撃退テクノロジーで、花粉を徹底除去する。

　また「ミルエア」アプリケーションにより、部屋の空気の状態の確認や、自分だけの運転モードの登録・設定ができるほか、ルームエアコン「エオリア」と連動し暖房時に自動加湿運転し、快適空間を実現する。

クリエイティブテクノロジーの主力製品

電気集塵式空気清浄機「セレナイト」

静音運転、ウイルスなど抑制

　クリエイティブテクノロジー（川崎市高津区）は、特許出願中の独自の空気清浄機構を搭載した卓上用の電気集じん式空気清浄機「Serenite（セレナイト）」の先行販売受け付けを4月から開始する。運転音はわずか16デシベルの高い静音性を備え、空気清浄機能はもちろん、オブジェのようなモダンな筐体（きょうたい）も特徴だ。

　同社はウィズコロナの働き方における新たなニーズを捉えたセレナイトを開発。オフィスのパーソナル空間を清浄化し、テレワークではウェブ会議中も運転音を気にせず使用できる。

　独自の空気清浄機構「GNIES（Generation of Negative ion Electro-Static） air purifier ユニット」は、2段式電気集じん機構造を超小型にまとめたもの。放電による集じん能力の低下やオゾンの発生を防ぎ、高い集じん機能と小型化を実現した。

　高い静音性は、寝室のベッドサイドに設置して花粉症対策にも活用できる。一般的なフィルター式空気清浄機との相性が良く、同社によると一緒に使用することで最大1.5倍の集じん性能が期待できる。

　試作機を用いた外部試験では、ファンにより10立方メートル／秒の風がある8畳の空間で駆動した場合、90分で大腸菌ファージウイルスを96.7％、花粉を97.7％減少させる。同様の環境下でHEPAフィルターと併用した場合、同ウイルスを22.5分で99％、花粉を20分で99％減少させる効果を確認したという。

　3Dプリンターで作成した筐体は日本の情景をコンセプトにした。内側からLEDライトの光が漏れ出て、幻想的な空間を演出する。6月にも販売開始し、価格は税込み5万円となる予定。