2022.01.31 【エンターテインメント総合特集】社会運動家、伊藤千代子の生涯、映画に権力に抗し、声上げた生涯描く 春公開へ

製作発表に臨んだ桂監督(右から3人目)と主要キャスト

映画の宣伝チラシ映画の宣伝チラシ

 昭和初期の社会運動家、伊藤千代子(1905~29)の生涯を描いた映画「わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯」がこの春、公開される。治安維持法が公布され言論弾圧が激しくなる中、主権在民や女性の地位向上を訴えた若き女性の姿を伝える。

 伊藤は現在の長野県諏訪市生まれ。諏訪高等女学校で歌人・国文学者の土屋文明の薫陶を受けた。代用教員を経て、仙台の尚絅(しょうけい)女学校で自由・平等の思想に触れ、東京女子大学で社会科学研究会に参加するなど社会主義の理論を学んだ。しかし、28年3月の治安維持法による一斉弾圧で逮捕、投獄されて心身を病み、翌29年に24歳の若さで死去した。

 映画は昨年10月にクランクイン。既に撮影を終え、現在は編集作業を進めており、4月から公開の予定。製作は、映画「伊藤千代子の生涯」ゴーゴービジュアル企画。

 18日に都内で製作発表が行われ、桂壮三郎監督ほか、主要キャストが勢ぞろいした。

 伊藤役は新人の井上百合子。「一人の女性として何を成し遂げ、何を成し遂げられなかったか。その思いを感じながら演じた」と役への思いを語った。

 伊藤の夫役を演じた窪塚俊介は、最愛の夫でありながら変節と裏切りを見せる難しい役どころ。「時代状況を学んでいく中で(井上と)役を深めていった」と振り返る。

 東京女子大の学長、安井てつを演じた竹下景子は「自由と平和がどれだけ貴重で、大切なことかを考える、よい機会になると思う」と期待を込めた。このほか、石丸謙二郎、嵐圭史らベテランが脇を固める。

 桂監督は、製作に当たり「死を覚悟して、社会を変えるんだという思いを貫く伊藤の姿を、決して押し付けではなく、若い人にぜひ見てもらいたい」と呼び掛けた。