2022.02.03 【テレビ特集】買い替え促す製品で需要獲得

 国内のテレビ市場はコロナ禍の〝巣ごもり〟需要に後押しされ、高精細4Kテレビを中心に買い替えが進んだが、2021年後半戦は需要も落ち着きをみせている。11年のアナログ放送停波、エコポイントに伴う特需から10年が経過しており、買い替えのタイミングにきているテレビも多い。今年も引き続き買い替えを促す製品提案と、施策を打つことで需要を掘り起こしていきたいところだ。

 このほど発表された電子情報技術産業協会(JEITA)の21年の薄型テレビ出荷実績をみると、前年同期比0.7%減の538万7000台だった。50V型以上の大画面テレビは同10.4%増の205万4000台と好調に推移しており、4Kテレビは同0.3%増の306万3000台、有機ELテレビは40.6%増の63万4000台となった。

 最需要期となる12月は全体では同5.6%減だったものの、50V型以上は同0.9%増、有機ELテレビは同14.4%増と前年から伸ばした。

 22年以降は〝巡航速度〟での買い替えが続いていくとみられる。購入後10年が経過するテレビの買い替えを促すとともに、寝室や子ども部屋など2台目3台目の購入につながる提案も重要になってくるだろう。

 この数年、テレビメーカー各社は、高画質化と高音質化に磨きをかけてきている。あらゆる映像を高画質処理する画像処理エンジンには、各社が長年培ってきた画作りのノウハウを組み込み、メーカーごとに特色が出てきている。AI(人工知能)を活用するメーカーも増えているほか、有機ELテレビはパネルの製造工程から技術連携し高画質化を図るところも増えてきた。より自然で臨場感のある映像が楽しめるようになっていることも訴求したいポイントになる。

 映像とともに力が入るのが音質だ。薄型テレビの構造上、簡単に高音質化するのが難しい。各社はスピーカー配置の工夫やデジタル処理技術を組み合わせて音作りをしている。映画館と同じ立体音響が楽しめる機種も出ており映像とセットで実演できる環境づくりも求められる。

 最近は放送波だけでなくインターネット動画を楽しむ人が多い。各社はネット動画の高画質化にも取り組む。放送波以外のコンテンツも簡単に高画質で視聴できることを訴求し、テレビ離れが進む若者層を取り込んでいくこともテレビ販売の拡大には欠かせない。

パナソニックの主力製品

注目の「レイアウトフリーテレビ」、自由に視聴場所を選べる

「レイアウトフリーテレビ(TH-43LF1)」。アンテナ線接続が不要で、電源ケーブル1本で自由に視聴場所を選べる

 パナソニックは、くらしに寄り添う新しいテレビの形として「レイアウトフリーテレビ(TH-43LF1)」(オープン価格)を昨年10月下旬から発売し、注目されている。

 レイアウトフリーテレビは、業界で初めて4K放送の無線伝送によってテレビの置き方の自由度を高めた43V型液晶テレビで、テレビ(モニター)のアンテナ線接続を不要とし、電源ケーブル1本で自由に視聴場所を選ぶことができる。

 大画面・高画質・高音質・多機能化するテレビはリビングの主役となる一方で、従来はアンテナ線やレコーダーなどの機器のケーブルが届く範囲でしか設置できず、「テレビの位置によって家具のレイアウトが制限され不満」「デザインがインテリアになじまない」といった声もあることに応え、レイアウトフリーとしインテリアにもフィットするデザインを採用した。

 無線伝送技術はポータブルテレビ「プライベート・ビエラ」から、4K映像の圧縮技術を「4Kディーガ」から受け継ぎ、データ容量が重い4K放送を安定して高品質に無線伝送できる。

 テレビ(モニター)はキャスター付きスタンドを採用することで、壁に寄せたり、部屋の中央に設置したりと好きな場所に簡単に動かせることはもとより、リビングからダイニングへ移動させるなど、生活シーンに合わせて楽しめる。

 インテリアになじむように本体、スタンドともに白色を基調とし、360度どこから見ても美しく、スタイリッシュなデザインに仕上げた。

 チューナー部は2テラバイトハードディスクを内蔵。新4K衛星放送対応チューナー2基を含む3チューナーを搭載し、新4K衛星放送の裏番組録画もできる。

 ネット動画サービスにも対応。同機とは別に録画機器などを用意する必要がなく、見たいコンテンツを好きな場所で楽しめる。

 無料のスマートフォンアプリケーション「どこでもディーガ」を使うことで、外出先で録画番組や放送中の番組の視聴、番組録画予約に加え、スマホの写真をチューナー部に保存し、大きな画面でスライドショー再生することもできる。

 対応家電の動作状況などを音声で知らせする「音声プッシュ通知」にも対応している。

 このほか、映像処理回路を一新し、AI(人工知能)技術により自動で最適な画質/音質に調整する新技術を搭載する「4Kビエラ」(有機EL/液晶テレビ)フラッグシップモデル「4K液晶ビエラ」JX950シリーズ(75V型/65V型/55V型)、「4K有機ELビエラ」JZ2000シリーズ(65V型/55V型)など、多彩なラインアップで大画面・高画質ニーズに応える。