2022.02.16 脱炭素に貢献する富士電機のインバーター第7世代IGBT採用、業界トップクラスの高効率・応答性実現

富士電機のインバーター新シリーズ「FRENIC-MEGA G2シリーズ」

 脱炭素社会の実現に向けて世界各国が動き始め、産業界でも関心が急速に高まっている。富士電機は多様な用途に合わせた汎用インバーターを品ぞろえしている。工作機械や、ファン・ポンプ、搬送ラインに使われ、産業用モーターと組み合わせて設備を最適に動かすことで大幅な省エネを実現し、脱炭素社会の実現に重要な役割を果たす。

 同社は汎用インバーターのシリーズとして「FRENIC-VG」(ベクトル制御)、「FRENIC-MEGA G1」(高性能多機能形)、「FRENIC-Ace」(高性能スタンダード形)、「FRENIC-Mini」、「FRENIC-HVAC」(空調用途)、「FRENIC-Eco」(ファンポンプ専用)をそろえる。自社製のIGBTを採用しているのも大きな特徴になっている。

 近年、生産現場では工作機械や搬送装置など設備の自動化が進められており、生産効率の向上に向けて、設備のさらなる安定・高速制御が求められている。

 また生産現場では、労働力不足を背景に、設備のメンテナンス作業の効率化が課題となっている。

グローバルで同時市場投入

 こうした市場のニーズに対応し、このほどFRENIC-MEGA G1シリーズを大幅に刷新し、「FRENIC-MEGA G2シリーズ」として全容量を日本、中国を中心としてグローバルで同時に市場投入した。

 新シリーズのFRENIC-MEGA G2シリーズでは、パワー半導体メーカーという強みを生かし、インバーターの主要部品であるIGBTモジュール(パワー半導体)を、富士電機新世代の第7世代IGBTとすることにより、その高い変換効率と電力制御で、インバーターの電力損失を改善し、業界でもトップクラスの高効率で省エネに大きく貢献する。

 FRENIC-MEGA G2シリーズは、業界最高クラスの応答性を実現。さらにインバーターの予兆保全機能・耐環境性を強化した。同シリーズは業界最高クラスの応答性で生産効率の向上に貢献する。

 例えば、金属加工機は対象物をモーターで高速回転させながら切削加工などを行う。その際、インバーターが対象物の形状や硬度などに合わせてモーターの回転数を切り替えることで最適な加工を実現するが、加工時の衝撃などにより生じる回転のムラが、品質不良やバラツキの原因となる。

 新シリーズの応答性を業界最高クラスとなる電流応答1000ヘルツ、速度応答200ヘルツ(同社従来製品比約2倍)まで高めた。これにより、モーターに掛かる負荷によって低下した回転数が指定の回転数に戻るまでの時間を短縮。より速く、安定した設備の稼働を可能とし、設備の加工品質の安定化や加工速度の向上に貢献する。

予兆保全機能・耐環境性強化

 また、予兆保全機能を充実させメンテナンスの負荷を低減した。パワー半導体メーカーという強みを生かし、インバーターの主要部品であるIGBTモジュールの出力電流・出力周波数をモニタリングして異常兆候にアラートを出す「寿命予測機能」と、インバーターの冷却能力の低下兆候を検知する「冷却能力低下警報」機能を追加。現場作業者のメンテナンス計画策定を支援し、装置停止の未然防止に寄与する。

 モーターの異常発生時に、直前の出力電圧・出力電流波形を記録する「トレースバック機能」を付与。設備不具合の原因特定に掛かる時間を短縮し、保全作業の負荷低減に貢献する。

 さらに冷却機構を見直し、盤の小型化・省エネに貢献する。通常インバーターは筐体(盤)に収められるが、故障などを防ぐために、インバーターから生じる熱を逃がす必要がある。盤内にファンや熱交換器などの冷却システムを設置する方法が一般的だが、省スペース・省エネの観点からインバーターの冷却フィン部分(主冷却部)を盤の外に出し、排気熱を直接外に送り出す盤外冷却方式が注目されている。

 同方式は、冷却システムを不要とするため盤を小型化し電力使用量を低減できるが、主冷却部がほこりや湿気などの影響を受けるため、設置場所が限られていた。

 同社は、主冷却部に防水・防じん規格「IP55」を適用(30k~630kW容量のモーター制御機種に対応)。これにより過酷環境下での盤外冷却方式の採用を可能にし、盤の小型化や省エネに貢献する。

 このほか、SXバス、Tリンク、オープンバスなど、産業ネットワークに対応する通信カードをオプションで用意している。

 主な用途は、搬送機械、工作機械、流体機械(ファン・ポンプ)など。

プラットフォーム開発推進

 製品ラインアップは、ベーシックタイプとして3相200V=0.4k~90kW17機種、3相400V=0.4k~630kW28機種。EMCフィルター内蔵タイプとして3相200V=0.4k~90kWの17機種、3相400V=0.4k~630kWの28機種。

 最後に、同社では各インバーターシリーズの構造・部品・ソフト等の基本設計の共通化を図る「プラットフォーム」開発を推進している。今後、続々と最新世代のIGBTと制御性能を搭載したシリーズ投入を計画しており、脱炭素社会の実現に最新技術と豊富な品ぞろえで貢献していく。【広告】