2022.02.28 ワイヤ・レーザー金属3Dプリンター発売三菱電機、世界初のデジタル造形技術搭載

ワイヤ・レーザー金属3Dプリンター

 三菱電機は、溶接用ワイヤをレーザーで溶融し、3次元構造を高品質に造形するワイヤ・レーザー金属3Dプリンター「AZ600」2機種を3月1日に発売する。

 AZ600は、世界で初めての空間同時5軸制御と、加工条件を協調制御するデジタル造形技術により、安定的かつ高品質な3次元造形を実現する。自動車や船舶、航空機の部品製造におけるニアネットシェイプ(最終形状に近い状態に仕上げること)化や、肉盛り補修など消費エネルギー削減、省資源、加工時間短縮での高効率な工法で、さまざまな加工工程における脱炭素化時代のモノづくりに貢献する。同製品による受託造形サービスも行う。

 従来の金属3Dプリンターの材料供給方式は、粉末方式とワイヤ方式の2種がある。粉末方式は、複雑で高精度な造形が可能になるが、材料の保管、環境への影響、材料コストなどの課題があった。ワイヤ方式においても、熱源にアーク放電を用いる場合が多いため、素材の熱ひずみや熱影響層が大きく、高精度な造形が困難だった。

 同社はワイヤ方式において、熱源の制御性に優れたレーザー光を使用することにより、造形状態に応じた適切な入熱制御を容易にし、ワイヤ材によるメリットと造形精度の両立を可能にした。

 空間同時5軸とワイヤ送給や、レーザー出力などの加工条件をCNC(コンピューター数値制御)で協調制御する世界初のデジタル造形技術により、造形物の状態や形状に合わせた積層造形を実現し、複雑な3次元構造も高精度な造形を可能にした。

 高速制御に適したレーザー光を熱源に使用し、造形状態に応じて高速かつ正確に熱エネルギーを制御することで、熱影響や熱ひずみの少ない高精度な積層造形を実現する。材料品質の安定しているワイヤ材を、レーザー光の入熱制御で溶融するワイヤ方式を採用している。

 空間同時5軸制御などにより、従来は熟練者の手作業に頼っていたTIG(タングステン不活性ガス)溶接の代替が可能になった。ニアネットシェイプ工法の採用で、材料の総形削りによる従来の製造工程と比べ、加工時間と廃棄材料を約80%削減、省エネルギーと省資源化を実現した。

 発売機種はAZ600-F20(発振器出力2kW)、AZ600-F40(同4kW)。