2022.03.18 【九州・山口産業特集】長州産業太陽電池モジュール新製品を4月発売
岡本 社長
温度上昇抑制で安全性向上、信頼性が強み
長州産業(山口県山陽小野田市)は4月から、太陽電池モジュールの新製品「JAPAN BLACK」を発売する。従来の半分サイズに凝縮したハーフカットセルが特長。電力損失の低減で発電効率を向上させ、公称最大出力340W、モジュール変換効率20%を実現した。
新製品の名称は国内生産であることを強調。温度上昇の抑制で安全性も向上しており、信頼性を強みとしている。標準の3分の2サイズのサブモジュールも用意。標準モジュールと組み合わせることで、屋根に無駄なく敷き詰めることができる。同社によると、近年は太陽光パネルの設置を前提に設計されている屋根も多く、新製品は最新の屋根事情に合わせた設計を意識した。
2020年度は新型コロナの流行で商談が減少していたが、21年度の前半に需要が回復し始めた。一方、秋ごろからは半導体不足やシリコンなど原材料価格の高騰で供給が課題となり、顧客の需要に十分に対応できなかった。
現在は、注残を解消しつつ製造ラインの生産能力増強を図るなど、JAPAN BLACKの発売に向けた準備も進めている。岡本晋社長は「22年度はお客さまの信頼回復に努めたい」と話した。
海外展開を推進する水素エネルギー事業もコロナの影響を受けた。水素燃料電池システムの導入を進めている中国では、厳しい移動制限により対面での商談が滞っている。
一方、米国では環境規制が進むカリフォルニア州ロサンゼルス港でFCVトラックや定置式燃料電池発電機などの実証導入が順調に進んでいる。今後は現地企業と協業してFC燃料で稼働するコンテナ冷蔵庫など新製品の開発実証も行う。
新規事業のバイオマス処理システムも引き合いが増えている。廃棄物処理規制が厳しくなる中、有機廃棄物や家畜のふん尿などを効率的に処理する手段として需要が高まり、現在は北海道の大型畜産農業での案件などを進めている。
来年度は増加した需要に応えられるよう、人材の確保と育成にも力を入れる方針だ。