2022.03.18 【九州・山口産業特集】九州計測器創業50周年へ取り組み加速
岩倉 社長
顧客のニーズに全方位で応える
九州計測器(福岡市博多区)では、北九州市で2019年から岩谷産業と実施していた水素の漏えいセンサーに関する実証研究が3月で終了する。
未付臭水素の検知を研究しており、センサーの性能評価や、パイプライン上のセンサーをクラウドで監視できるシステムを構築するなど、付臭・脱臭といった工程がなくても安全に水素を運搬できるか検証を進めてきた。
研究はおおむね順調に進んでいるといい、同市に報告書を提出する段階となっている。岩倉弘隆社長は「水素の活用は全国的にも動きが出ている。安心・安全を支える計測という分野から、一緒に盛り上げていければ」と話す。
昨年設置した新部門「ミエル課」の動きも活発だ。温度や湿度をはじめとする空間環境全体の「見える化」をテーマに、「空気温度分布計測システム」など独自の製品やソリューションの開発・販売を専門的に行っている。現在は空調機器メーカーへの納入も進むほか、「空間可視化は、いずれ水素にもつながるような部門。さらに幅広い分野での活用も期待できる」(岩倉社長)という。
今年は技術部門に新たな社員を迎えるほか、社内での研修も進めている。これまでに2人の社員が入社、さらに1人が入社する予定だ。来年度は新卒採用も再開し、営業や開発部門における若手人材の獲得に乗りだす。
社員に対しても、外部講師を招いての研修などを実施。人員体制強化や人材育成を通じて、同社の強みを伸ばしていきたい考えだ。
22年度は、来年迎える創業50年に向けた動きも加速する。「来年の準備や発信を進めるとともに、当社で掲げた中期ビジョンの達成に向けての取り組みを進めていきたい」と岩倉社長は語る。
同社は、九州各地に7カ所の拠点を構え、営業担当者がケアできる体制を整えている。顧客の課題解決に役立つ各種計測器の選定とシステム化を行い、ソリューション提案ができる体制を目指す。
ソフトとハード、デジタルとアナログを問わず、顧客のニーズに「全方位的」に応える体制を生かしていく。