2022.03.18 【九州・山口産業特集】長府工産V2Hに今後も注力
伊奈 社長
蓄電池、配電盤など内製も
長府工産(山口県下関市)は、2021年度期初に掲げた売り上げ目標250億円はほぼクリアの見込み。前年度比9%増で、過去最高の売り上げとなる。
売り上げ構成比では蓄電池が5割強となっており、需要は旺盛で、モノ不足がなければ今年度の目標1万7500台達成も視野に入っていた。太陽光発電は下降傾向だが、販売店側も蓄電池の方が粗利が上がることもあり、蓄電池にシフトしてきているという。
V2Hも確実に伸びており、トヨタやホンダなど自動車メーカーのEVへのシフトやガソリンスタンドの減少、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の警鐘もあって、電気自動車への関心は高くなっている。
車の買い替えサイクルは8、9年程度が多く、伊奈紀道社長は「5年後にはガソリン車よりも電気自動車の比重が高くなる予測も出ている」と、今後もV2Hには力を入れる。水素関連の実証事業は年度内でほぼ完了するが、今後も継続していく。
蓄電池の生産では、周辺の配電盤なども内製で試みようとしている。販売でもこれまでの営業ルートとは別に、工場で営業部隊を育て、直接販売にも取り組む。スキルを身に付けたスタッフが専門的な質問にも応えられることで拡販を目指す。22年度は営業の新規採用を7人、来期は10人以上を予定。
営業部門以外では、ペーパーレスに向けたシステム導入など、アナログ業務を改善していく。伊奈社長は属人性の高い時代は過ぎたとし、「人でないとできない仕事とそうでない仕事があり、そうでない部分は自動化していきたい」と、業務全体を見直してスリム化し、営業をより強化する。
蓄電池の伸長は、市場の拡大にいち早くフィットする営業戦略をとってきた結果だ。伊奈社長は「来期は変化をしっかりと捉えて、最も効果的な手を打っていく」と語る。情報提供の早さなど、人の投入を含めてタイムリーな戦略で差別化を図る。
3月には下関出身の柔道家・原沢久喜選手とメインスポンサー契約を結んだ。周知活動とともに、地域貢献にもつなげていく。