構内にフィルムコンデンサー専用第2生産棟、22年度中に竣工へ

　ニチコンは、江蘇省宿遷市にある「尼吉康電子（宿遷）有限公司」に積極投資する。中国の旺盛な電気自動車（EV）向けフィルムコンデンサーの需要に対応するため、2022年度中に第3期投資として構内にフィルムコンデンサー専用第2生産棟を着工、竣工（しゅんこう）させる。

　20年12月に竣工、21年度上期から本格稼働させたフィルム蒸着から巻き取り、組み立てまで一貫生産するフィルムコンデンサー専用棟。既存棟の倉庫・出荷ヤードを改築し、20年4月からフィルムコンデンサーの巻き取りから組み立てを行っている既存ラインと合わせて宿遷工場として22年度にフィルムコンデンサーで月産15万台体制を整える。23年度には月産20万台超に引き上げ、グループ最大級のフィルムコンデンサー生産拠点にする計画。

　また、パソコン（PC）マザーボード、ノートPC、ACアダプター、充電器向け需要が増大している導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーの自動化、ロボット化に注力。チップ品は小形・低背、長寿命、リード品は大形・大容量化でゲーム機、サーバー向けなどの新用途の需要にも応える。

　南出智嗣董事長兼総経理は「蘇州から蘇州・宿遷工業園区に全面移転して12年目に入った。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーで培ったモノづくり力を生かし、中国のEV向けフィルムコンデンサー需要に応えていく。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーもニチコン大野第二工場（福井県大野市）の数倍の生産能力を備え、中国のEMSなどの需要に対応。グローバル供給拠点の役割を担う」と意気込む。

　25年度連結売上高2000億円に向けた全社中期成長目標「Vision 2025」に沿って、顧客要望に関するベンチマークを反映した製品の提供。品質・コスト・納期・サービス・技術など、あらゆる面において最上級を目指すトップノッチ経営の展開。モノづくりからコトづくりの視点で製造業から創造業への転換を進める。