2022.03.24 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 エレクトロニクス商社の中国営業戦略菱電商事

赤司 董事長・総経理

チャイナスピードへの対応を第一

 菱電商事は、菱商電子(上海)をヘッドに大連、成都、深圳、広州に分公司を設け、2021年7月に合肥事務所も開設した。菱電商事本社、菱商香港とも連携しながらFA、デバイスを中心に中国ビジネスを展開している。

 菱電商事は今年4月に創立75周年を迎え、菱商電子(上海)は昨年20周年を迎えた。

 赤司圭一董事長・総経理は「21年度はゼロコロナ政策、電力制限、部品・部材不足などの影響があったが、半導体製造装置、加工機、EV向けなどのFA設備が好調に推移した。デバイスも不足状態が続くが、パワー系半導体などの需要が拡大し、業績を伸ばせた。中国経済の減速感が指摘されているが、ビジネスの現場では今のところ大きく落ち込む気配はなく、部品・部材不足はあるが22年度も前半は今の勢いを持続するとみている」と話す。

 売上比率はデバイス6~7割、FA3~4割。デバイスは三菱電機製のパワー半導体のほか機構部品などの電子部品が中心で、日本市場向けに現地商材も扱う。赤司董事長は「中国半導体産業の急成長に伴い半導体製造装置向けのFA機器も売り上げが伸びている。当社では前工程の顧客が多い。中国製半導体は汎用品が中心で価格競争が激しく、当社ではまだ扱っていないが、競争力のある製品に絞った開拓は進めている」と述べる。

 FAではエンジニアリングを強化し、製造業顧客のさまざまな課題に対応したソリューションを提供するため現地企業とのコラボレーションも進め、新たなビジネスモデルの構築を目指している。

 赤司董事長は「中国はカーボンニュートラルなど環境対策強化、EV、インフラ整備、人手不足による生産自動化、製造業の内製化など内需拡大政策が続き、当社にとっても新たなビジネスチャンスが広がっている。今後成長が見込まれる未開拓の市場も多い。ものづくりにおける中国のポテンシャルは依然、高い。チャイナスピードへの対応を第一に意識し中国市場に合わせたエリア戦略、新規ビジネスモデルの創出を継続推進する」と語る。