2022.03.24 【この一本】「ニトラム/NITRAM」(配給:セテラ・インターナショナル)
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1996年4月28日、オーストラリアの観光地タスマニア島、ポート・アーサーで発生した無差別銃乱射事件。単独犯の動機がいまだ不明瞭なこの事件を初めて映画化したのは、「現代オーストラリア最高の映画作家」と称されるジャスティン・カーゼル。事件の“真実"に迫るため、犯人の複雑なパーソナリティだけでなく、彼を取り巻くさまざまな事柄を一つずつ剥き出しにする。事件に納得も共感もできないが、丁寧に描かれる日常に、少しだけ、部分的に理解ができそうな不思議な感覚になる。
「ニトラム」と呼ばれる主人公を演じたのは、実力派のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。カンヌ国際映画祭では見事、主演男優賞を受賞した。ニトラムに普通の若者として人生を謳歌してほしいと願う母をジュディ・デイヴィス。将来を案じ、できる限りのケアをしようと努める父をアンソニー・ラパリア。ニトラムが出会うヘレンをエッシー・デイヴィスが演じる。豪アカデミー賞では主要8部門で最多受賞を果たした。
25日から、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国公開。