2022.04.08 【ルームエアコン特集】室内空気質に高まる関心、電気料金値上げで省エネ性も注目
空気質への高い関心に加え、今年は省エネへの関心が高まり、エアコン買い替え需要が顕在化しそうだ
ルームエアコンは、今後、夏場に向けて商戦が本格化する。在宅時間が増えて、室内の空気質(IAQ)への関心が高まっているため、引き続き堅調な買い替え需要が見込める。エアコン運転(使用)時間も伸びており、電気代が値上げされる中で、エアコンの省エネ性についても改めて関心が強まりそうだ。
室内の空気質に対する関心が高まったことから、ルームエアコンに搭載される空気清浄機能や内部クリーン機能、フィルター清掃をはじめとした清潔機能、またイオン発生、換気・調湿機能など、快適面での機能への関心が高まっている。
同時に、近年は在宅時間が伸びたことで、エアコンの使用時間が増えていることに加え、昨今のエネルギー問題の顕在化による電気代値上げも加わり、改めて省エネ性にも大きな関心が向けられることになる。
■エアコン暖房の利用時間増加
パナソニックでは、エオリア アプリに接続した同社エアコン・エオリアユーザーの利用データをもとに、「2021年~2022年 冬のエアコン使用実態調査」(宮城・東京・大阪・福岡の4地域対象)を実施し、昨シーズンの同期間とエアコン暖房利用時間を比較した。
それによると、全地域でエアコン暖房の利用時間が増え、東京で54.1時間、大阪で78.8時間、福岡で138.6時間もの増加となるなど、エアコン利用時間が伸びている。
近年、冬場の暖房器具としては、エアコンがトップとなっており、最もよく使われるようになっていることに加え、コロナ禍で在宅時間が伸びたこと、昨シーズンより気温が低かったことも加わり、利用時間が大きく伸びた。
このため、本格的な冷房シーズンとなる夏場に向けて、この時期エアコンの手入れ、試運転が重要となる。
一方、利用時間が増加して、関心が高まるルームエアコンの省エネ性についても、しっかりユーザーに訴求していくことが重要だ。
そろそろ買い替え時期を迎える、あるいはエアコンに不具合が見つかったユーザーに向けては、最新の高効率なルームエアコンへの買い替え提案が効果を発揮する。
このところ電気代の値上げが話題となるほか、諸物価も上がっており、家計のやりくりに腐心するユーザーが増えてくるため、省エネ訴求は今夏商戦において、重要なポイントの一つとなりそうだ。
■ユーザーの省エネ意識が向上
電気代の値上げのみならず、ユーザーの省エネ意識は高まっている。カーボンニュートラルの実現など、環境への配慮が叫ばれる中、相対的に省エネへの関心が強まっているようだ。
ダイキン工業は今年2月、「エアコン暖房と省エネに関する意識調査」を全国約500人の男女に実施した。電気料金の値上げが続く中で、家庭での省エネに対する意識は高まっているかとの問いに7割近くが「高まっている」と答え、SDGsやカーボンニュートラルが注目される中、普段から地球環境や省エネを意識すると答えた人が約55%いた。
家庭内で消費する電力で最も多いのがエアコン冷暖房であり、エアコンの省エネ性は必然的に多くのユーザーにとっても関心事となる。
■需要は堅調
ルームエアコン市場は、出荷台数が1000万台を超え過去最高だった20年度と比較すると、今期はその反動で前年割れで推移しているが、業界の見方では通期で920万~930万台程度と、依然として高水準な見通しとなっている。
市場には買い替え・買い増し需要が根強く存在しており、堅調な需要が見込める。室内空気質への関心も高く、22年度についても21年度と同等かそれより上回るという見方もある。
ルームエアコンは17年度以降、毎年900万台を上回る高水準な出荷が続いている。ルームエアコンの暖房性能の向上を背景として、寒冷地域への普及が急速に進んでいることから、全体の需要を今後も支えていくと見られる。