2022.04.22 日立、日立物流の株式売却検討米投資ファンドに、グループ再編が最終局面

 日立製作所が4割出資するグループ会社の日立物流の保有株式を、米投資ファンドのKKRに売却する方向で調整していることが分かった。保有比率を1割程度に引き下げるとみられる。ITを主軸とする成長分野に経営資源を集中投下する一環で加速してきた日立のグループ再編が、最終局面を迎えつつある。

 日立は22日、日立物流株式の売却を行うとの一部報道に関して、「検討を行っているが、現時点で決定した事実はない」とのコメントを発表した。

 売却先には、複数の投資ファンドが候補に挙がっているもよう。KKRに売却に向けた優先交渉権を与えたとみられる。KKRは、TOB(株式公開買い付け)で日立物流株を非公開化することを模索している。

 日立は、リーマン・ショック直後の2009年3月期に過去最大の最終赤字を計上。それを機に収益拡大が見込めるITなどの有望分野に経営資源を集中させる方向に舵を切り、グループ再編を加速してきた。

 その一環で上場子会社も売却対象となり、今年1月には日立建機の保有株のうち約半分を伊藤忠商事と国内投資ファンド、日本産業パートナーズの折半出資会社に売却すると発表した。

 また昨年7月には、約1兆円を投じて米IT企業グローバルロジックの買収を完了。同社との相乗効果で、データから新たな価値を生み出すIoT(モノのインターネット)基盤「ルマーダ」のグローバル展開を強化することも狙っている。