2022.05.18 電子部品や素材業界が「CM」創るわけは半導体や先端材料訴求、新人など起用で

エイブリックのCMの場面の一部(同社サイトから)

 電子部品や素材といった、BtoBを柱にする企業が、テレビCMに力を入れている。一般消費者にはなじみがあまりない分野ながら、企業の姿勢の浸透を図る。投資家へのPRや、将来の人材確保といった狙いもあるようだ。日本のCMで初めてともみられる手法も使い、工夫をこらしている。

 ミネベアミツミグループのエイブリックは、主力であるアナログ半導体についてCMで、「感じる半導体」といった意表をつくコピーで訴求する。苔むした深い森にたたずむ少女の前で、木の様々な場所などが光る。CGを使わず、あえて実写にこだわった。許可を得て国有林で撮影し、試行錯誤を経て、森林にプロジェクションマッピングをした労作。国内のCM制作でおそらく初という手法で、「アナログ」の世界の印象付けもめざした。

 制作の担当者によると、土砂降りに見舞われるなどする中、撮影や映像確認といった地道な作業を繰り返した。CMは幸い、内外から好評で、第2弾も検討中という。IoTに欠かせないデバイスなどで産業界で知られる中、消費者に加えて、企業のエンジニア層などにも一層浸透できれば、と期待する。

 JX金属のCM第1弾「学校編」は、高校の化学の授業中、「とある異変」が起こるという設定。「銅ブチ眼鏡」の女子学生を軸に物語が進む。グループが未来を見据え、資源開発や先端素材、リサイクルなど一貫した事業を進めることをアピール。芸能活動を始めたばかりの早瀬結菜さんがフレッシュな演技を披露している。

 東芝もパワー半導体のCMを発表。有村架純さんと後輩研究員が掛け合いをする、という筋立て。「カーボンニュートラルへの貢献などをアピールしたい」という。

 こうした「縁の下の力持ち」の業界でも、BtoCの様々な取り組みが活発。最近あった「ニコニコ超会議」では、三井化学といった企業がZ世代向けに訴求し、注目されていた。様々なチャンネルを駆使してのアピールが今後も見られそうだ。

(19日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)