2022.05.25 【次世代自動車用部品・材料特集】JFEケミカル電池材料やフェライト分野強化
JFEケミカルは、車載用機能性材料ビジネス拡大に向け①電池材料②フェライト分野を強化している。JFEグループの製鉄工程で得られる副生品の安定調達を強みに原料から一貫生産し、高特性で高品質の製品を低コストで安定供給する。
電池材料では、民生向けを中心に負極材の開発・販売を長年手掛けてきた。今後は次の三つの負極材を軸に、車載向けビジネスを大きく拡大させる方針。
まず、ハードカーボン負極材は、独自技術で優れた出力・耐久性を持ち、国内車載向けリチウムイオン電池に採用され、生産・販売を拡大。また、次世代リチウムイオン電池として注目されるAPBの全樹脂電池には同社のハードカーボンが不可欠で、独占的に供給していく予定。APBは2021年10月に福井県の工場が稼働し、大きな成長が見込まれる定置型用途をターゲットに拡販していく。
また、ニードルコークス系負極材は、中国宝武炭業との合弁事業「烏海宝傑新能源材料有限公司」に40%出資。宝武炭業から原料ニードルコークスを安定調達し、現地の安価な電力代などでコスト競争力を有し、中国EV向けを中心に拡販していく。
さらに、天然黒鉛系負極材でも長年の開発・販売実績があり、車載電池用に販売拡大を図る。
フェライトは、JFEスチールの製鉄所で副生される酸化鉄を活用し、原料からの一貫生産体制を整備。高純度酸化鉄の安定調達で、高品質のフェライトコアを安定供給する。マンガン系フェライトでは日系外販メーカーでトップシェアを確保。電動車(EV/HEV/PHEVなど)搭載のコンバーターやインバーターなど、より高い特性が求められる車載市場への展開を強化する。
同社は車載需要増に対応、国内(倉敷)に新型連続炉を導入し、新製品生産を開始した。カーボンニュートラル実現に向け電動車の需要増大が見込まれるため、国外での生産能力増強も順次推進する。