2022.05.26 東芝が13人の取締役候補発表議長に渡辺章博氏 「物言う株主」2人も

オンライン会見に臨む東芝の社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ 氏

 東芝は26日、6月28日に開催予定の定時株主総会に諮る13人の取締役候補を発表した。新たな取締役会議長の候補には、M&A(企業の合併・買収)の助言会社フーリハン・ローキーで会長を務める渡辺章博氏を選任。候補者が全員選ばれると、現在の8人体制から5人の増員となる。

 定時総会に諮る取締役候補のうち、社外取締役は11人。このうち新任は、議長候補の渡辺氏を含めて5人となる。

 東芝は3月に開いた臨時株主総会で、グループを2分割する再編計画を諮ったが否決。これを受けて4月には再編計画を中断し、社外取締役で構成される「特別委員会」を設置。現在、株式の非公開化を含めた「戦略的選択肢」の検討を進めている。取締役会の増員により、企業価値の向上に向けた戦略的選択肢の検討を前進。株主との信頼関係の再構築につなげたい考えだ。

 オンライン形式で同日開いた会見で、社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏は選任の経緯に触れ、「取締役会の多様性についてかなり時間をかけて議論した」と強調。M&Aなどの業務で豊富な経験を持つ渡辺氏については、「戦略的選択肢を評価する上で、取締役会に貴重な経験と専門知識を提供できる」と評価した。

 新任取締役候補のうち二人は、主要株主の米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネージメントと米エリオット・マネジメントの出身者で、「物言う株主」とされる。ゼイジ氏は二人を指名した理由にも言及し、「東芝のステークホルダー(利害関係者)を代表して取締役としての義務を果たすことができる優秀な方を選ぶことができた」と述べた。

 社内からは、島田太郎社長、柳瀬悟郎副社長2人の選任を諮る。暫定的に取締役会議長を務めている前社長の綱川智氏は取締役を退任し、特別顧問に就任。後任の島田社長が新たに取締役に就く。