2022.06.01 半導体不足やコロナ禍でも業績拡大電子部品メーカー42社の3月期連結決算
需要拡大が続く電子部品(TDKの超薄型マイクロPOL DCーDCコンバータ―)
主要電子部品メーカー42社の2021年度(22年3月期)連結決算は、旺盛な部品需要を背景に、大半の企業が大幅な増収増益となった。8割強の企業が前期比で2桁の売り上げ増となり、営業利益は前期比5割以上増加した企業が全体の6割近くに達した。産業機器や自動車、ハイエンドスマートフォン向けの電子部品需要拡大が各社の業績回復をけん引した。22年度の業績見通しも、2桁の営業増益を計画する企業が約半数を占めるなど、積極姿勢が見られている。
電子部品のグローバル需要は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で20年前半に急落したが、20年夏場以降回復し、その後、想定を超えるペースでの拡大が続いている。
各社の21年度業績は、コロナ禍からの経済回復が年間を通じて継続し、自動車や産業機器、ICT関連などの電子部品需要が堅調に推移したことで、好調に売り上げ・利益が拡大した。21年度は、世界的な半導体不足が自動車やスマホ、家電製品などの生産に影響を与えたほか、21年夏場のASEANでのコロナ感染再拡大に伴う厳しいロックダウン措置、22年2月からのロシアによるウクライナ侵攻、22年2月以降の中国一部都市でのロックダウン強化など、様々なマイナス要因が発生したが、部品ユーザーのBCP(事業継続計画)在庫積み増しもあり、部品需要は堅調だった。
アプリケーション別では、FA機器や半導体製造装置などの設備投資関連の部品需要が年間を通じて極めて高水準で推移。スマホは、半導体不足が響き21年のスマホ世界生産台数は前年を下回ったものの、高性能な5G(第5世代移動通信規格)スマホの生産増が付加価値の高い電子部品の需要を押し上げた。自動車も、21年後半以降、各国自動車メーカーの半導体不足に起因する生産の遅延発表が相次いだ中でも、車の電子化や電動化の進展が車1台当たりの電子部品搭載点数増や新規搭載部品創出を加速させた。
収益面では、増収効果に加え、各社の構造改革の進展、為替の円安進行などが利益を押し上げた。
この結果、21年度は多くの部品企業が期初予想を上回る業績を計上し、大手メーカーを中心に、売上高や営業利益が過去最高を更新した企業も少なくない。
電子部品各社の22年度業績も、拡大基調が続く見通し。引き続き、産機関連の部品需要が高水準で推移することが見込まれているほか、自動車やスマホ向けなどの部品需要も、年後半にかけて半導体不足やサプライチェーン混乱などの問題が徐々に解消されていくことが、部品需要をさらに活性化させると予想されている。22年4月から5月にかけては、上海市のロックダウンが部品各社の事業にも大きな影響を与えたが、年後半にかけて挽回生産が見込まれている。原材料価格高騰に対処するための部品各社の販売価格是正も進む見通しだ。海外売上比率が7割を超える企業が多いため、昨今の円安進行も部品メーカーにとりアドバンテージとなる。
(決算期変更を実施した双信電機を除く)41社の22年度連結業績予想は、売上高は全社が増収を計画し、うち13社は2桁の増収を予想している。営業利益も31社が増益を計画し、うち20社は2桁増益を見込む。経常利益は26社、当期純利益は27社が増益を計画し、40社が最終黒字を見込む。
(2日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)